障害者支援施設の料金表を調べていると、「本当にいくらかかるの?」と不安になる方も多いでしょう。実際には、国や自治体の手厚い支援制度があり、多くの方が無料または低額で利用できる仕組みになっています。
この記事では、障害者支援施設(障害者総合支援法に基づく入所・通所施設)にかかる利用料の計算方法から、食費・光熱水費の補足給付、無料になる条件、申請手続きの流れまでを、制度の公式情報をもとに整理しました。
費用のことが心配で施設利用をためらっている方も、ぜひ最後まで読んで、次に相談すべき窓口を確認してみてください。
障害者支援施設の料金表を理解する前に知っておきたい基本
障害者支援施設の料金を正しく理解するには、まず「どのような施設か」「どのようなサービスが含まれるか」を把握しておくことが大切です。費用の種類は大きく3つに分かれており、それぞれ負担のルールが異なります。
障害者支援施設とはどのような施設か
障害者支援施設とは、障害者総合支援法に基づく福祉施設で、夜間は「施設入所支援」、昼間は「生活介護」や「自立訓練」などを一体的に提供する入所型の施設です。
主に身体障害・知的障害・精神障害のある方が24時間体制で生活しながら支援を受けます。入所だけでなく、自宅から通う通所での利用も可能な施設もあります。施設の運営主体は、都道府県・市町村などの自治体か社会福祉法人が原則です。
昼のサービスと夜のサービスの組み合わせ
障害者支援施設のサービスは、昼間と夜間に分かれています。昼間は「生活介護」(常時介護が必要な方への日常生活支援・創作活動等)または「自立訓練」「就労移行支援」などを受けます。夜間は「施設入所支援」として入浴・排せつ・食事介護や生活相談などが提供されます。
どちらのサービスを利用するかの組み合わせは個別支援計画(サービス等利用計画)で決まり、利用者一人ひとりの状況に応じた支援が行われます。費用の計算も、それぞれのサービス単位で行われます。
誰が利用できるか(対象者と障害支援区分)
障害者支援施設に入所できるのは原則18歳以上の方で、利用にあたっては「障害支援区分」の認定が必要です。障害支援区分とは、必要な支援の度合いを1〜6の6段階で示す指標で、数字が大きいほど支援の必要度が高いことを表します。
生活介護を利用して入所する場合は区分4以上(50歳以上の方は区分3以上)が対象です。自立訓練・就労移行支援・就労継続支援B型を利用する場合は、入所しながら訓練を行う必要があると認められた方も対象となります。詳細はお住まいの市区町村の障害福祉窓口でご確認ください。
①サービス利用料(原則1割・上限月額あり)
②食費・光熱水費(実費・補足給付あり)
③その他実費(被服費・医療費・日用品費など)
具体例:生活介護と施設入所支援を利用する場合、昼間の生活介護サービス料と夜間の施設入所支援サービス料の合計から1割を負担しますが、負担上限月額を超えた分は請求されません。
- 障害者支援施設は障害者総合支援法に基づく入所型福祉施設
- 昼間(生活介護等)と夜間(施設入所支援)のサービスを組み合わせて利用
- 利用には障害支援区分の認定と受給者証の取得が必要
- 費用はサービス料・食費等実費・その他実費の3種類
障害者支援施設の料金表の仕組み|1割負担と上限月額
障害福祉サービスの利用料は、サービス費用の9割を国・都道府県・市町村が負担し、利用者は原則として1割を負担する「応能負担」の仕組みです。ただし、所得に応じた負担上限月額が設定されており、多くの方が実際には無料または低額で利用できます。
負担上限月額の4区分とは
障害福祉サービスの自己負担には、所得に応じた4つの区分があります。厚生労働省の公式ページによると、生活保護受給世帯は0円、市区町村民税非課税世帯(低所得1・低所得2)は0円、一般1(市区町村民税課税世帯のうち所得割16万円未満、入所施設・グループホーム利用者を除く)は9,300円、一般2(一般1以外の市区町村民税課税世帯)は37,200円となっています。
入所施設利用者(20歳以上)やグループホーム利用者は、市区町村民税課税世帯の場合「一般2」として扱われます。ひと月にどれだけサービスを利用しても、この上限月額を超えて請求されることはありません。※要確認
住民税非課税世帯は利用料が無料になる
生活保護受給世帯や住民税非課税世帯(低所得世帯)に該当する場合、サービス利用料の負担上限月額は0円となり、実質無料でサービスを利用できます。
障害者支援施設に入所している方の多くは、主な収入が障害基礎年金のみのため、住民税非課税世帯に該当するケースが多いとされています。ただし、食費・光熱水費などの実費は別途必要です。
所得の範囲と世帯の考え方
障害福祉サービスの所得区分を判断するための「世帯の範囲」は、障害のある方の年齢等によって異なります。18歳以上の場合は、障害のある方本人とその配偶者が世帯の範囲とされます。
親と同居していても、障害のある方が18歳以上であれば親の収入は世帯に含まれません。ただし、入所施設利用者については別途取り扱いがありますので、詳細はお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
| 所得区分 | 対象 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得(1・2) | 市区町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市区町村民税課税(所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外の市区町村民税課税世帯 | 37,200円 |
※入所施設(20歳以上)・グループホーム利用者は市区町村民税課税世帯の場合「一般2」となります。利用者負担上限月額は厚生労働省公式サイトでご確認ください。
- 障害福祉サービスは原則1割負担・9割は公費負担
- 負担上限月額は4区分(0円・0円・9,300円・37,200円)※要確認
- 住民税非課税世帯はサービス利用料が0円
- 18歳以上は本人・配偶者のみで世帯収入を判断
食費・光熱水費と補足給付制度の詳細
サービス利用料とは別に、入所施設では食費・光熱水費が実費負担となります。しかし、低所得の方には「補足給付(特定障害者特別給付費)」という国の補助制度があり、支払い後も必ず一定額が手元に残るよう設計されています。
食費・光熱水費の仕組み
入所施設の食費・光熱水費は、各施設が54,000円を上限として実費額を設定します。施設によって金額が異なりますので、入所を検討する際は各施設の料金表で確認するとよいでしょう。
通所施設(生活介護等に自宅から通う場合)では、低所得世帯や一般1(グループホーム利用者のうち所得割16万円未満の方を含む)は食材料費のみの負担となり、実際にかかる費用の約3分の1程度の負担となります。月22日利用の場合、目安として約5,100円程度とされています。※要確認
補足給付で手元に必ず一定額が残る仕組み
生活保護受給世帯または住民税非課税世帯の方が入所施設を利用する場合、「補足給付(特定障害者特別給付費)」が支給されます。厚生労働省の公式情報によると、20歳以上の低所得入所者は、食費・光熱水費を支払った後も少なくとも25,000円が手元に残るように補足給付が行われます。障害基礎年金1級の方は28,000円以上が手元に残ります。
つまり、障害年金を受け取りながら食費・光熱水費を支払っても、補足給付の仕組みにより手元に一定額が必ず確保されます。「施設に入ったらお金が底をついてしまう」という心配は、基本的にしなくてよい設計になっています。
通所施設(生活介護等)の食費の扱い
就労継続支援B型や生活介護などに自宅から通う通所型のサービスでは、食費は「食材料費のみ」の負担です。これは調理にかかる人件費相当分が軽減されるためです。住民税非課税世帯または一般1の方が対象で、申請不要で自動的に適用されます。
食材料費の金額は施設ごとに設定されており、一律ではありません。利用予定の施設に直接確認するとよいでしょう。
低所得の入所者は、食費・光熱水費を支払っても少なくとも25,000円(障害基礎年金1級は28,000円)が手元に残るよう補足給付が支給されます。
グループホーム利用者には別途、家賃補足給付(月額1万円を上限)もあります。
- 入所施設の食費・光熱水費は54,000円を上限に施設ごとに設定
- 低所得の入所者には補足給付があり手元に25,000円以上が残る※要確認
- 通所施設は低所得・一般1の場合、食材料費のみ負担(約5,100円目安)※要確認
- グループホーム利用者は家賃補足給付(月額上限1万円)も活用できる
サービス利用料以外にかかる費用の種類
施設で生活するにあたり、障害福祉サービス料・食費・光熱水費以外にも、日常生活に必要な費用が発生します。これらの実費は補助金の対象外となるものが多いため、あらかじめ把握しておくと安心です。
日用品費・被服費・医療費
シャンプー・歯磨き粉・トイレットペーパーなどの消耗品については、施設の基本料金に含まれているケースが多いですが、施設によって異なります。衣類(外出着・作業着・下着など)は基本的に自己負担です。体型が安定していれば高額にはなりにくいでしょう。
医療費については、多くの自治体で「障害者医療費助成制度」があり、医療機関の窓口負担が大幅に軽減されます。無料になる自治体もありますが、助成の内容は市区町村により異なります。詳細はお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
施設独自のサービスに関する費用
陶芸・絵画・音楽活動などのレクリエーション材料費、外出時の交通費、理美容サービスなどは施設の基本サービス外の実費になることがあります。費用が高額にならないよう心がけている施設が多いですが、入所前に確認しておくと安心です。
また、金銭管理を施設に依頼する場合は管理料が発生する施設もあります。契約前に料金表の内容をよく確認し、不明な点はスタッフに質問するとよいでしょう。
高額障害福祉サービス等給付費による還付
同一世帯に障害のある方が複数いる場合や、障害福祉サービスと介護保険の両方を利用している場合など、自己負担の合計が一定額を超えると「高額障害福祉サービス等給付費」が支給(償還払い)されます。
複数のサービスを利用していて負担が重いと感じる場合は、市区町村の担当窓口や相談支援専門員に相談し、高額給付費の対象になるか確認するとよいでしょう。
ミニQ&A
Q. 住民税非課税世帯であれば費用はすべて無料ですか?
A. サービス利用料は無料になりますが、食費・光熱水費などの実費は別途かかります。補足給付の仕組みにより、支払い後も一定額が手元に残るよう設計されています。
Q. 医療費の負担はどのくらいかかりますか?
A. 「障害者医療費助成制度」により自治体ごとに大幅に軽減されます。無料になる自治体もありますが、内容は市区町村によって異なりますので、窓口にご確認ください。
- 日用品費・被服費・交通費などは実費負担
- 医療費は障害者医療費助成制度で軽減されるが自治体差あり
- 複数サービス利用時は高額障害福祉サービス等給付費の確認を
- 施設独自のサービス費は入所前に料金表で確認しておくと安心
障害者支援施設を利用するための申請手続きの流れ
障害者支援施設を利用するには、障害福祉サービスの支給申請・障害支援区分の認定・受給者証の交付という一連の手続きが必要です。手続きには一定の時間がかかるため、早めに相談窓口に問い合わせることが大切です。
相談・申請から受給者証交付までの流れ
まず、市区町村の障害福祉担当課または相談支援事業者に相談し、利用したいサービスの内容を伝えます。その後、市区町村窓口に支給申請を行うと、認定調査員による心身の状況の訪問調査(80項目)が実施されます。
調査結果と医師の意見書をもとに「障害支援区分」が認定されます。続いて相談支援専門員が「サービス等利用計画案」を作成・提出し、市区町村が支給決定を行うと「障害福祉サービス受給者証(受給者証)」が交付されます。申請からサービス利用開始まで、一般的に2か月程度かかる場合があります。
受給者証とは何か・どこで申請するか
受給者証とは、障害福祉サービスを利用する資格を持っていることを証明する書類で、市区町村が交付します。受給者証には、利用できるサービスの種類・支給量・負担上限月額などが記載されています。障害者手帳を持っていても、障害福祉サービスを利用するためには別途受給者証の取得が必要です。
申請窓口は原則としてお住まいの市区町村の障害福祉担当課です。申請に必要な書類(申請書・診断書等)は自治体によって異なりますので、事前に窓口へ確認するか、相談支援事業者に手続きサポートを依頼するとスムーズです。
サービス等利用計画と相談支援専門員の役割
障害福祉サービスを利用する際には「サービス等利用計画」の作成が必要です。これは、相談支援専門員(指定特定相談支援事業者のスタッフ)が、利用者の希望や状況をもとに、必要なサービスの内容・量・組み合わせを計画するものです。
ご自身やご家族で計画を作成する「セルフプラン」も認められています。ただし、セルフプランの場合は相談支援専門員によるサービス調整やモニタリングは受けられません。はじめて申請する場合は、相談支援事業者に依頼することをおすすめします。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ①相談 | 市区町村窓口または相談支援事業者に相談 |
| ②申請 | 市区町村の障害福祉担当課に支給申請 |
| ③認定調査 | 訪問調査(80項目)・医師意見書 |
| ④区分認定 | 障害支援区分(1〜6)の認定 |
| ⑤計画案作成 | 相談支援専門員がサービス等利用計画案を作成・提出 |
| ⑥支給決定 | 市区町村が支給決定・受給者証を交付 |
| ⑦契約・利用開始 | 施設と契約してサービス利用開始 |
- 申請からサービス利用開始まで一般的に2か月程度かかる
- 申請窓口はお住まいの市区町村の障害福祉担当課
- 受給者証は障害者手帳とは別に市区町村から交付される
- 相談支援専門員にサポートを依頼するとスムーズに手続きが進む
施設選びで確認しておきたい料金表のチェックポイント
障害者支援施設を選ぶ際には、制度上の費用だけでなく、各施設が設定する実費の内訳も必ず確認することが大切です。同じ障害支援区分でも、施設によって食費・光熱水費・加算サービスの金額が異なります。
施設の料金表で確認すべき項目
各施設が公表している料金表には、基本料金(障害支援区分別の1日あたりのサービス利用料)と実費(食費・光熱水費・日用品費など)が記載されています。見学時や問い合わせの際に、料金表を取り寄せて確認するとよいでしょう。
加算サービス(送迎加算・夜間対応加算・強度行動障害支援加算など)が適用される場合、その分が利用料に加算されます。加算の内容や金額については、施設のスタッフに説明を求めるとよいでしょう。
WAM NETで全国の施設情報を確認する方法
独立行政法人福祉医療機構が運営する「WAM NET(障害福祉サービス等情報検索)」では、全国の障害福祉サービス事業所・施設の情報を無料で検索できます。都道府県・市区町村・サービス種別で絞り込みができ、施設の所在地や定員などを比較する際に役立ちます。
ただし、WAM NETの情報はすべての施設が最新の状態で登録しているわけではありません。料金の詳細や空き状況は、必ず直接施設に問い合わせて確認するようにしてください。
見学・体験利用で費用感を確認する
実際の費用感は、見学や体験利用を通じて確認するのが最も確実です。見学時に「月にかかる総費用の目安はいくらか」「補足給付の手続きはどこで行うか」「加算サービスの対象になるか」を直接スタッフに確認することをおすすめします。
費用に不安がある場合や、どの施設が自分に合っているかわからない場合は、まず相談支援専門員か市区町村の障害福祉窓口に相談するとよいでしょう。希望や状況に合わせて適切な施設の情報を提供してもらえます。
具体例:施設見学の前に「月の総費用の目安を教えてください」「食費・光熱水費の実費はいくらですか」「補足給付の手続きは施設が代行しますか」の3点を問い合わせリストに書いておくと、比較がしやすくなります。
- 料金表は施設ごとに異なるため、見学・問い合わせ時に必ず確認
- 加算サービスの有無により月額が変わるため内訳を確認する
- WAM NETで全国施設を検索できるが詳細は直接問い合わせを
- 費用の不安は市区町村窓口や相談支援専門員に相談する
まとめ
障害者支援施設の料金は、「応能負担」の仕組みにより多くの方が無料または低額で利用でき、食費・光熱水費は補足給付制度で手元に一定額が残るよう国が支援しています。費用の心配で利用をためらう必要はありません。
まずお住まいの市区町村の障害福祉担当課か相談支援事業者に相談し、自分の所得区分と利用できるサービスを確認してみてください。申請手続きのサポートも受けられます。
費用や手続きで分からないことがあれば、ひとりで抱え込まず相談窓口を頼ってください。一歩踏み出した先に、安心して暮らせる選択肢が必ずあります。
最終確認:2025年3月
本記事の情報は公開時点のものです。制度の詳細や利用要件は、お住まいの市区町村の窓口または相談支援専門員にご確認ください。利用料・工賃・支給額は自治体・事業所・世帯収入により異なります。本記事は特定の事業所・サービスの利用を推奨するものではありません。

