就労継続支援B型事業所に通いながら、「別の事業所にも通えないだろうか」と感じる方は少なくありません。制度上、B型事業所の複数利用は一定の条件のもとで認められています。ただし、同日には利用できないなど、知っておくべきルールがあります。
このページでは、B型同士の複数利用から、就労移行支援や生活介護との組み合わせ可否、アルバイトとの関係まで、「就労継続支援B型の併用」にまつわる制度的な整理をまとめます。手続きの流れや支給量の管理方法についても順を追って説明します。
利用を検討している方も、すでにB型に通いながら選択肢を探している方も、ぜひ参考にしてみてください。
就労継続支援B型の「併用」には2つのパターンがある
「B型の併用」という言葉は、大きく2つの意味で使われます。一つはB型事業所を2か所以上利用する「B型×B型」の複数利用、もう一つは就労移行支援や生活介護など他の障害福祉サービスとB型を組み合わせる「異種サービスの併用」です。それぞれルールが異なるため、どちらのケースなのかを先に整理しておくと、制度の理解が進みやすくなります。
「B型×B型」の複数利用と「B型×他サービス」の2パターン
B型事業所を2か所以上利用する場合、制度の目的(就労を通じた自立支援)に沿っていると判断されれば、原則として複数事業所との契約が認められます。たとえば、1か所目では軽作業中心の訓練を行い、2か所目ではパソコン作業や資格取得支援を受けるというケースが該当します。
一方、B型と他の日中活動サービスを組み合わせる場合は、障害者総合支援法に基づく「事務処理要領(厚生労働省)」の定めにより、サービスの種類によって可否が分かれます。就労移行支援やA型との組み合わせは原則想定外とされており、生活介護や自立訓練との組み合わせは市区町村が認めた場合に可能とされています。
なぜ同日利用が制度上できないのか
B型を2か所以上利用する場合でも、同じ日に複数の事業所を利用することはできません。これは、障害福祉サービスの報酬が1日単位で算定される仕組みになっているためです。
厚生労働省の事務処理要領では、「日中活動サービスに係る報酬は一日単位で算定されることから、同一日に複数の日中活動サービスを利用することはできない」と明記されています。同じ日に2事業所を利用すると、行政から両方の事業所に給付金が重複して支払われる事態が生じるため、このルールが設けられています。
この制限はB型に限らず、生活介護や就労移行支援など他の日中活動サービス全般に共通して適用されます。
どんな場合に複数利用が選択肢になるか
現在通っているB型事業所の作業内容に物足りなさを感じている場合や、異なるスキルを身につけたい場合に、複数利用が選択肢の一つになります。また、曜日ごとに通所のペースが異なり、片方の事業所だけでは週の利用日数が少なくなる場合に、曜日を分けてもう1か所を活用するケースもあります。
ただし、体力や生活リズムへの影響も考慮が必要です。複数利用が自分にとって本当に必要かどうかは、担当の相談支援専門員や事業所のスタッフと相談しながら判断するとよいでしょう。
2か所目を利用する場合は、曜日を分けて計画的に通所する方法を取ります。
報酬が1日単位で算定されるため、同日の2事業所利用は給付上認められていません。
- B型の複数利用には「B型×B型」と「B型×他サービス」の2パターンがある
- 同日に複数の日中活動サービスを利用することは制度上できない
- 複数利用を検討する場合は、相談支援専門員への事前相談が安心
B型事業所を2か所利用するときのルールと手続き
B型を2か所利用する場合には、守るべき条件と踏む必要がある手続きがあります。事前に双方の事業所へ伝えることと、受給者証への追加記載が主な手順です。利用日数の管理も含め、計画的に進めることで、無理のない複数利用ができます。
同日利用は禁止、曜日を分けるのが基本
2か所のB型事業所を利用する場合、「月・水・金は事業所A、火・木は事業所B」というように、曜日を分けて通所するのが基本です。同じ日に両方の事業所に通うことは、どの市区町村でも認められていません。
午前と午後でそれぞれ別の事業所に通うという形も、同日利用に該当するため認められません。1日に通えるのは1か所のみという点を前提に、週のスケジュールを設計することが必要です。
支給量(利用日数)の上限と管理方法
障害福祉サービス受給者証には、サービスごとに「支給量」と呼ばれる月間の利用日数の上限が記載されています。B型を2か所利用する場合も、2か所合計の通所日数がこの支給量の範囲内に収まるよう管理する必要があります。
日中活動サービスの支給量は、原則として各月の日数から8日を引いた日数が上限の目安とされています(例:31日の月であれば最大23日程度)。2か所を併用するからといって、支給量が自動的に増えるわけではありません。
支給量を超えた利用は、行政からの給付が下りなくなるリスクがあります。複数利用のスケジュール管理は、担当の相談支援専門員や各事業所のスタッフと連携しながら進めるとよいでしょう。
受給者証への追加記載と事前の調整先
新しくB型事業所を追加利用する際は、既存の障害福祉サービス受給者証に、その事業所の情報を追加記載してもらう手続きが必要です。受給者証には利用事業所名が記載される仕組みのため、「片方の事業所には伝えずに利用する」という形は制度上できません。
すでにB型の支給決定が下りている場合、改めて市区町村の審査を受け直す必要は通常ありませんが、自治体によって手続き方法が異なる場合があります。不明な点は、担当の相談支援専門員か市区町村の障害福祉担当窓口に事前に確認しておくとよいでしょう。
| 確認・手続き先 | 主な内容 |
|---|---|
| 現在通っているB型事業所 | 2か所目を利用したい旨の連絡・スケジュール調整 |
| 新しく通うB型事業所 | 利用申し込み・契約手続き |
| 相談支援専門員 | サービス等利用計画の調整・受給者証の追加記載サポート |
| 市区町村障害福祉窓口 | 支給量の確認・自治体独自の手続き確認 |
- B型の2か所利用は曜日を分けて行うのが原則
- 支給量の範囲内でスケジュールを管理する必要がある
- 受給者証への事業所追加記載は手続き上必須
B型と他の日中活動サービスとの組み合わせ可否
B型と他の障害福祉サービスを組み合わせて利用できるかどうかは、サービスの種類と市区町村の判断によって異なります。厚生労働省の事務処理要領では、日中活動サービスの組み合わせについての基本方針が示されており、サービスの目的や性質に応じて「認めるもの」と「認めないもの」が整理されています。
就労移行支援との組み合わせは原則できない理由
就労移行支援とB型の組み合わせは、多くの市区町村で認められていません。厚生労働省の資料(障害福祉サービス等事業所説明会資料・令和3年3月)では、就労移行支援は「支給決定自体が有期限で、その間集中的に支援を実施することが必要」なサービスと位置づけられており、他のサービスとの併給は原則想定されていないとされています。
就労移行支援の利用期間は原則2年(必要と認められた場合に最大1年延長可)と定められており、その限られた期間に就職へ向けた支援を集中して受けることが前提です。B型との掛け持ちを前提とした制度設計にはなっていないため、「なじみのあるB型に週2で通いながら就労移行支援にも通いたい」という希望があっても、市区町村の審査で認められないことがほとんどです。
ただし、厚生労働省は明確に「禁止」と定めているわけではなく、「市町村が特に必要と認める場合には複数の日中活動サービスの組み合わせが可能」という枠組みの中に例外的に含まれる余地はあります。気になる方は市区町村の障害福祉担当窓口に相談することをおすすめします。
B型と生活介護・自立訓練の組み合わせについて

B型と生活介護の組み合わせは、市区町村が必要と認めた場合に認められます。厚生労働省の事務処理要領を踏まえた各自治体の取り扱いでは、「生活介護とB型」の組み合わせについて、サービス等利用計画にそれぞれのサービスで何を支援するかを明記することを条件として、併給を認めている自治体があります。
自立訓練(生活訓練・機能訓練)については、就労移行支援と同様に有期限のサービスであり、集中的な支援が前提とされているため、B型との組み合わせは原則として想定外とされているケースが多いです。ただし、こちらも自治体の判断が加わるため、利用を希望する場合は担当窓口に確認するのが確実です。
B型と組み合わせが難しいサービス:就労移行支援・自立訓練・就労継続支援A型
いずれも市区町村の判断が最終的な決定権を持ちます。
アルバイトとの併用はどう扱われるか
就労継続支援B型は、雇用契約に基づく一般就労が困難な方を対象としたサービスです。そのため、原則としてアルバイト(雇用契約を伴う就労)との併用は想定されていません。
ただし、事業所および行政の許可を得た上で例外的に認められるケースがあります。たとえば、就労に向けた訓練の一環として、少ない時間数で段階的にアルバイトを経験するといった文脈で認められた事例が報告されています。その場合も、B型の利用継続の可否を含めて、事業所スタッフや市区町村の担当窓口と十分に相談することが必要です。
- 就労移行支援との組み合わせは多くの自治体で原則認めていない
- 生活介護との組み合わせは、市区町村が認めた場合に可能
- アルバイトとの併用は原則想定外だが、例外的に認められるケースもある
B型を2か所利用するメリットと注意点
複数のB型事業所を利用することには、支援の幅が広がるというメリットがある一方で、スケジュールの管理や体への負担など、注意が必要な点もあります。ここでは両面を整理します。
作業内容や支援の幅が広がる点
B型事業所はそれぞれ扱う作業内容や支援方針が異なります。1か所目では農作業や軽作業を中心とした生産活動を行い、2か所目ではデータ入力や動画編集など、より就職につながりやすいスキルの習得を目指す、という組み合わせが例として挙げられます。
異なる環境で異なる人と関わることで、対人スキルの幅が広がったり、自分に合った作業スタイルを発見しやすくなったりするという側面もあります。1か所だけでは得られない経験を積みたい方にとって、複数利用は有効な選択肢の一つです。
スケジュール管理と体調への負担
2か所の事業所を利用する場合、通所先が増えることで移動の頻度が上がり、慣れるまでの心理的・体力的な負担が増える場合があります。特に、体調に波があったり、疲れやすかったりする方にとっては、無理なく継続できるかどうかを慎重に見極めることが大切です。
スケジュール管理の面では、どの曜日にどちらの事業所へ行くかを事前にはっきり決めておくことが重要です。急なキャンセルや変更が生じた場合は、双方の事業所に早めに連絡することで、支給量の超過を防ぐことができます。
利用料の計算と上限額管理の仕組み
B型を2か所利用する場合の利用料(利用者負担額)は、1か所利用の場合と基本的な計算方法は変わりません。利用料は世帯収入に応じた月額の負担上限額が設定されており、その範囲内での自己負担が発生します。
1か所目の利用料が非課税世帯等の理由で0円であれば、2か所目も追加の負担なしで利用できるケースがほとんどです。ただし、2か所分の利用料が発生する場合は、「上限額管理」と呼ばれる事業所間での調整が必要になることがあります。この手続きは事業所側が対応しますが、事前に双方の事業所へ伝えておくことで、スムーズに進みます。なお、利用料の詳細は世帯構成や収入によって異なるため、最新の負担上限額は市区町村の障害福祉担当窓口でご確認ください。
| 世帯の収入区分 | 月額負担上限額の目安 |
|---|---|
| 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得(市区町村民税非課税世帯) | 0円 |
| 一般1(市区町村民税課税世帯・所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 一般2(上記以外) | 37,200円 |
※上記は障害者総合支援法に基づく目安の区分です。実際の負担額は世帯の状況によって異なります。最新情報は厚生労働省の「障害者の利用者負担」ページまたはお住まいの市区町村窓口でご確認ください。
非課税世帯では2か所目を利用しても追加負担はかからないケースがほとんどです。
不明な点は市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。
- B型の複数利用で作業内容やスキルの幅を広げられる
- 体調や生活リズムへの影響を十分に確認してから始めるとよい
- 利用料は世帯収入による上限額が適用され、2か所でも計算方法は基本的に同じ
まとめ
就労継続支援B型事業所の「併用」には、B型同士の複数利用と、他の障害福祉サービスとの組み合わせという2つのパターンがあります。B型同士の複数利用は条件を満たせば可能ですが、同日利用の禁止・支給量の管理・受給者証への追加記載という3つのルールを守ることが前提になります。就労移行支援や自立訓練との組み合わせは多くの自治体で原則認められておらず、生活介護との組み合わせは市区町村の判断次第です。
まず取り組みやすい最初の一歩としては、今通っているB型事業所のスタッフや担当の相談支援専門員に「2か所利用を検討している」と伝えることです。手続きの流れや支給量の確認など、専門家のサポートを受けながら進めるのが最も確実です。
制度のルールは複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつ確認しながら進めれば、自分に合った利用の形を見つけることができます。困ったことがあれば、市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援専門員にいつでも相談してください。

