中卒という学歴があっても、就労支援を利用して自分に合った働き方を目指す道はあります。学歴そのものが就労支援の利用条件になっているわけではないため、必要以上に不安を感じなくても大丈夫です。
障がいや難病がある場合、就労移行支援や就労継続支援A型・B型といった福祉的な就労支援を使えることがあります。ただし年齢や利用開始のタイミングにはいくつかの決まりがあり、中学校を卒業してすぐに使えるとは限りません。18歳になるまでの期間をどう過ごすかによって、その後の選択肢も変わってきます。
この記事では、中卒の方が就労支援を検討するときに整理しておきたい年齢条件やサービスの違い、事業所選びのポイントを見ていきます。まず何から確認すればよいか知りたい方は、参考にしてみてください。
中卒で就労支援を考えるときにまず知っておきたい年齢と対象条件
この章では、中卒の方が就労支援を利用する際にまず整理しておきたい年齢要件と対象条件を見ていきます。何歳から使えるサービスなのか、どんな条件が必要なのかを押さえておくと、その後の判断がしやすくなります。
就労移行支援・就労継続支援A型は原則18歳から65歳未満が対象
障害者総合支援法に基づく就労移行支援と就労継続支援A型は、利用を始める時点で原則18歳以上65歳未満であることが対象条件です。中学校を卒業した直後の年齢は多くの場合15歳前後のため、卒業と同時に申し込むことはできません。この年齢要件は全国共通の基本ルールであり、事業所ごとに緩和されるものではありません。
ただし例外もあります。児童相談所長が利用を適当と認め、市区町村長に通知した場合は、15歳以上であれば障害児であっても対象とみなされることがあります。この扱いは厚生労働省の障害者就労支援マニュアルにも整理されており、年齢だけで判断せず、まずは自治体の窓口に相談してみると安心です。
就労継続支援B型には年齢の上限がなく15歳から対象になる場合がある
就労継続支援B型には年齢の上限がなく、65歳以上でも利用できます。下限についても、就労移行支援等を利用したが雇用に結びつかなかった人などに加え、15歳以上で児童相談所長の意見書がある場合は対象になることがあります。年齢の幅が広いことは、B型がほかの就労系サービスと大きく異なる点の一つです。
ただし、義務教育期間である中学校在学中は就労系サービスの対象になりません。卒業後すぐにB型を希望する場合も、事業所の担当者、特定相談支援事業所の担当者、自治体の担当者、必要に応じて保護者が集まって打ち合わせを行うなど、市区町村への相談と手続きが必要になる点は押さえておきたいところです。
中卒であること自体は利用条件に含まれない
就労移行支援やA型・B型の対象条件に学歴の項目はありません。条件となるのは年齢、障がいや難病の有無、一般就労への意欲などであり、中卒か高卒かは審査の基準にはなっていません。厚生労働省の資料でも、対象者は障がいの状況や年齢によって定義されており、最終学歴による線引きは見当たりません。
そのため、中卒という学歴を理由に利用をあきらめる必要はありません。一方で、就職先の選択肢という観点では、資格取得が前提の職種など、学歴が影響する場面が別途あることは知っておくとよいでしょう。就労移行支援を利用しながら、必要に応じて資格取得を目指すという選び方もあります。
18歳になるまでの期間はどう過ごすか
中学校卒業から18歳になるまでの期間、障がいのある人が過ごし方に迷うケースは少なくありません。特別支援学校高等部への進学、通信制高校や定時制高校への進学、ハローワークの職業相談など、選択肢は複数あります。特別支援学校高等部は文部科学省が定める高等学校とは区分が異なるため、卒業後の進路情報は学校の進路相談でも確認しておくと安心です。
この期間の過ごし方によって、その後の就労移行支援の利用開始がスムーズになることもあります。在学中に事業所の見学や体験を受け入れているところもあるため、焦らず、自治体の障害福祉窓口や学校の進路相談を活用しておくとよいでしょう。
B型は年齢の上限なし、15歳から対象になる場合あり
中卒という学歴自体は利用条件に含まれない
18歳未満は児童相談所長の意見書などの手続きが必要
Q. 中学校在学中でも就労移行支援を利用できますか。
A. 中学校は義務教育のため、在学中は就労系の障害福祉サービスの対象になりません。卒業後、年齢などの条件を満たしてから利用を検討する形になります。
Q. 18歳未満でもB型は利用できませんか。
A. 児童相談所長が適当と認め、市区町村長に通知された場合は15歳以上で利用できることがあります。まずは自治体の窓口に確認するとよいでしょう。
- 就労移行支援・A型は原則18歳以上65歳未満が対象
- B型は年齢の上限がなく、15歳から対象になる場合もある
- 中卒という学歴自体は利用条件に含まれない
- 18歳未満の利用には児童相談所長の手続きが必要になることがある
就労移行支援・就労継続支援A型・B型の違いと中卒でも使えるサービスの選び方
この章では、就労移行支援と就労継続支援A型・B型の違いを整理し、中卒の方がどのサービスを選びやすいかを見ていきます。それぞれの目的や働き方の違いを知っておくと、事業所選びの軸が定まりやすくなります。
就労移行支援は一般企業への就職を目指す訓練の場
就労移行支援は、一般企業などへの就職を目指す人が、必要な知識やスキルを身につけるための福祉サービスです。原則として雇用契約は結ばず、訓練としての位置づけになります。利用期間は原則最長24か月で、延長を認めるかどうかは市区町村の判断によって異なります。
ビジネスマナーやパソコンスキルの習得、職場実習、就職後の定着支援まで、就職前後を通じたサポートが受けられる点が特徴です。中卒の方でも、年齢と障がいの条件を満たせば利用対象になり、学歴を理由に断られることはありません。
就労継続支援A型は雇用契約を結んで働ける
就労継続支援A型は、事業所と雇用契約を結んだうえで働く福祉サービスです。最低賃金が保障される点が、就労移行支援や就労継続支援B型との大きな違いになります。給与という形で収入を得ながら働き方を身につけたい人に向いています。
一般企業での就労が現時点では難しいものの、雇用契約に基づく就労であれば可能と見込まれる人が対象です。年齢条件は就労移行支援と同じく原則18歳以上65歳未満で、この点も中卒かどうかとは関係がありません。
就労継続支援B型は雇用契約を結ばず自分のペースで働ける
就労継続支援B型は、雇用契約を結ばずに生産活動などに取り組む福祉サービスです。工賃という形で対価が支払われますが、最低賃金の保証はありません。作業内容や工賃の水準は事業所によって差があります。
体調に波がある人や、まずは通所のリズムを整えたい人にとって、A型や一般就労に比べてハードルが低い選択肢になり得ます。年齢の上限がない点も特徴で、10代から高齢の人まで幅広い年齢層が利用しています。
中卒の方がサービスを選ぶときの考え方

どのサービスが合うかは、体調や生活リズム、これまでの通学・通所の経験によって変わります。いきなり就労移行支援やA型を目指すのではなく、B型から段階的にステップアップする例もあります。焦って一般就労を目指すよりも、自分の状態に合った段階から始めるほうが結果的に続けやすいこともあります。
迷う場合は、複数の事業所の見学を通して、自分にとって通いやすい環境かどうかを比較してみることが大切です。事業所によって受け入れている障がいの種類や年齢層の傾向が異なることもあるため、見学時に確認しておくと安心です。
| サービス | 雇用契約 | 年齢の目安 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 就労移行支援 | なし | 18歳以上65歳未満 | 一般就労に向けた訓練 |
| 就労継続支援A型 | あり | 18歳以上65歳未満 | 雇用契約に基づく就労 |
| 就労継続支援B型 | なし | 上限なし(15歳から対象になる場合あり) | 工賃を得ながらの生産活動 |
例えば、見学の際に一日のスケジュール、支援員との面談頻度、実際の利用者の年齢層を尋ねてみると、通所後のイメージがつかみやすくなります。複数の事業所を比較してから決めると、ミスマッチを防ぎやすくなります。
- 就労移行支援は一般就労を目指す訓練の場で雇用契約はない
- 就労継続支援A型は雇用契約を結び最低賃金が保障される
- 就労継続支援B型は雇用契約なしで工賃を得ながら活動する
- 体調や経験に応じて段階的にサービスを選ぶ方法もある
15歳から18歳未満の中卒者が利用できる支援と手続きの流れ
この章では、中学校卒業後すぐの15歳から18歳になるまでの間に利用できる支援と、手続きの大まかな流れを見ていきます。年齢の壁を感じやすい時期だからこそ、選択肢を知っておくと安心です。
児童相談所長の意見書による就労系サービスの利用
15歳以上の障害児について、児童相談所長が就労系の障害福祉サービスを受けることが適当と認め、市区町村長に通知した場合は、障害児であっても障害者とみなして利用対象になることがあります。この扱いは全国一律の基準ではなく、児童相談所や自治体の判断が関わる仕組みです。
この仕組みを利用する場合は、まず児童相談所や市区町村の障害福祉窓口に相談するところから始まります。障害者手帳の所持や医学的診断が必須要件とは限らない自治体もありますが、判断基準は自治体によって異なるため、手続きには一定の時間がかかることを想定し、早めの相談が大切です。
ハローワークや地域若者サポートステーションの活用
18歳未満で就労系の障害福祉サービスの対象にならない場合でも、ハローワークや地域若者サポートステーション(サポステ)など、若者向けの就職支援を利用できることがあります。ハローワークは全国に設置されている公的な職業紹介機関で、求人情報の提供や職業相談を無償で行っています。
サポステは厚生労働省委託の支援機関で、働くことへの不安がある人の相談に継続的に対応しています。ハローワークのように求人を斡旋する機関ではありませんが、同じ担当者が継続して相談に乗ってくれる点が特徴です。障がいの有無にかかわらず相談できる窓口として選択肢に入れておくとよいでしょう。
特別支援学校や通信制高校など学びを続ける選択肢
中学校卒業後、すぐに就労を目指すのではなく、特別支援学校高等部や通信制高校、定時制高校などで学びを続ける選択肢もあります。夜間定時制などに在学しながら、日中の時間を活用して就労系サービスの利用が認められるケースもあります。
在学中から見学や実習を受け入れている就労移行支援事業所もあるため、卒業後にスムーズに支援へつなげたい場合は、在学中に情報を集めておくことが役立ちます。学校の進路指導担当者と事業所の両方に相談しておくと、選択肢が広がりやすくなります。
手続きを進めるうえでの注意点
就労系サービスの利用には、受給者証の申請や自治体との調整など、複数の手続きが必要です。18歳未満の場合は、本人だけでなく事業所の担当者、相談支援事業所の担当者、自治体の担当者、保護者が一堂に会して打ち合わせを行うこともあり、申請から発行までに一定の期間がかかることもあるため、余裕をもって準備しておくと安心です。
手続きの詳細は自治体によって異なる部分があります。最新の手続き方法は、お住まいの自治体の障害福祉担当窓口で確認しておくと確実です。
18歳未満でもハローワークやサポステは相談できる
特別支援学校や通信制高校で学びを続ける道もある
受給者証の申請は早めに自治体へ相談しておくと安心
例えば、中学卒業を控えた時期に一度、地域の障害福祉窓口やサポステに相談の予約を入れておくと、卒業後の動き出しがスムーズになります。相談は無料で受けられる窓口がほとんどです。
- 15歳以上は児童相談所長の意見書があれば就労系サービスの対象になり得る
- 18歳未満でもハローワークやサポステは利用できる
- 特別支援学校や通信制高校で学びを続ける選択肢もある
- 受給者証の手続きは早めに自治体へ相談しておくとよい
事業所選びで確認しておきたいポイントと利用料・受給者証の基本
この章では、就労支援の事業所を選ぶときに確認しておきたいポイントと、利用料や受給者証といった手続き面の基本を見ていきます。事前に知っておくと、見学や相談がスムーズに進みます。
見学時に確認しておきたいポイント
事業所を選ぶ際は、支援内容だけでなく、通いやすさや雰囲気も含めて確認しておくことが大切です。一日の過ごし方、支援員との面談頻度、他の利用者の年齢層などを尋ねてみるとよいでしょう。中卒であることを気にする必要はありませんが、同年代の利用者がいるかどうかを聞いておくと通いやすさの目安になります。
複数の事業所を比較することで、自分に合った環境かどうかが見えやすくなります。可能であれば、体験利用の制度がある事業所を選ぶと、雰囲気をより具体的につかめます。プログラムの内容や、就職支援の実績についても質問しておくと判断材料が増えます。
利用料は所得に応じて上限が設けられている
就労移行支援や就労継続支援A型・B型の利用料は、世帯の所得に応じて上限額が設けられており、多くの場合、自己負担が生じない世帯もあります。所得区分は本人や世帯の課税状況などから判断される仕組みです。
具体的な金額や区分は制度改正によって変わることがあるため、最新の情報は厚生労働省や自治体の公表資料で確認しておくと安心です。事業所の窓口でも、自分の場合の負担額の目安を教えてもらえることがあります。
受給者証の申請から利用開始までの流れ
就労系の障害福祉サービスを利用するには、多くの場合、自治体が発行する受給者証が必要です。申請から発行までは一定の期間がかかるため、早めに窓口へ相談しておくことが大切です。事業所探しと並行して申請を進めておくと、利用開始までの流れがスムーズになります。
障害者手帳を持っていなくても、医師の意見書などで利用が認められるケースがあります。診断がはっきりしない、いわゆるグレーゾーンの状態であっても相談できる場合があるため、まずは自治体の障害福祉担当窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。
トラブルを感じたときの相談先
事業所とのやり取りで不安や疑問が生じた場合は、一人で抱え込まず、自治体の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談できます。いじめやハラスメント、強制的な退所など、深刻に感じられる出来事があった場合も同様です。
サービス内容や契約に関する相談は、国民生活センターなど第三者機関に相談できる場合もあります。困ったときの相談先を事前に把握しておくと、いざというときに落ち着いて対応しやすくなります。
| 所得区分の目安 | 負担上限月額の考え方 |
|---|---|
| 生活保護世帯 | 0円になるよう設定されている場合が多い |
| 市町村民税非課税世帯 | 0円になるよう設定されている場合が多い |
| 市町村民税課税世帯 | 所得に応じて上限額が設定される |
※具体的な金額は制度改正で変わることがあります。最新情報は厚生労働省の障害者の利用者負担に関するページでご確認ください。
Q. 中卒でも受給者証は取得できますか。
A. 学歴は受給者証の取得条件に関係ありません。年齢や障がいの状況を踏まえて、自治体が判断します。
Q. 事業所とのトラブルはどこに相談できますか。
A. まずは自治体の障害福祉窓口や相談支援事業所への相談が基本です。契約内容に関する相談は国民生活センターも選択肢になります。
- 見学では支援内容だけでなく雰囲気や通いやすさも確認する
- 利用料は所得に応じて上限額が設定される仕組みになっている
- 受給者証の申請は早めに自治体へ相談しておく
- トラブル時は障害福祉窓口や国民生活センターにも相談できる
まとめ
中卒という学歴自体は就労支援の利用を妨げる理由にはならず、年齢と障がいの条件を満たせば、就労移行支援や就労継続支援A型・B型といった選択肢が開かれています。18歳未満であっても、児童相談所長の意見書など一部の仕組みを通じて利用につながる場合があります。
まずは、お住まいの自治体の障害福祉窓口や地域若者サポートステーションに相談し、自分が使える制度を確認することから始めてみてください。事業所の見学を予約してみるのも、具体的なイメージをつかむ第一歩になります。
一人で抱え込まず、使える制度や窓口を一つずつ確認しながら、自分に合った次の一歩を見つけていきましょう。
本記事の内容は、厚生労働省・自治体などの公的機関の公開資料をもとに整理したものです。制度・利用条件・支給額などは改正・変更される場合があります。最終的な判断や申請手続きの前には、必ずお住まいの自治体窓口や各事業所の最新情報をご確認ください。

