就労継続支援B型事業所の利用料は免除になる?4区分の仕組みと減額の手順を解説

B型事業所の利用料免除を案内する日本人女性

就労継続支援B型事業所(以下、B型事業所)の利用料が免除になるかどうか、費用の全体像を把握してから利用を考えたい方は多いでしょう。

障害者総合支援法に基づくB型事業所の利用料は、世帯所得に応じた「応能負担」の仕組みで決まります。生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯は利用料の自己負担が0円となるため、多くの方が費用の心配なく通所しています。

この記事では、利用料が免除される条件・4区分の負担上限月額・利用料以外にかかる費用・4種の減免制度・利用開始までの流れを整理します。費用面の不安を解消してから、次のステップに進んでいただければ幸いです。

就労継続支援B型事業所の利用料が免除される仕組みとは

B型事業所は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つです。サービス全体にかかる費用のうち原則1割を利用者が負担し、残りの9割を国・都道府県・市区町村が公費で賄う仕組みになっています。ただし、この1割負担には所得に応じた「負担上限月額」が設定されており、生活保護受給世帯と市町村民税非課税世帯は上限額が0円、つまり利用料が免除されます。

応能負担の考え方とは

「応能負担」とは、収入や資産などの支払い能力に応じて負担額が変わる仕組みのことです。B型事業所をはじめとする障害福祉サービスでは、この考え方が採用されており、所得が低いほど負担額が少なくなるよう設計されています。

同じ日数・同じ内容のサービスを利用していても、世帯の所得状況によって毎月の支払額が異なります。所得が高い方でも1か月の負担上限月額が定められているため、どれだけ多く利用しても上限を超えて請求されることはありません。詳細はお住まいの市区町村の障害福祉窓口でご確認ください。

4区分の負担上限月額

厚生労働省が定める負担上限月額は、世帯の収入状況に応じて以下の4区分に分類されています(出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」)。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯(注)0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)9,300円
一般2上記以外37,200円

(注)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象とされています。一般1については収入が概ね670万円以下の世帯が対象となります。詳細はお住まいの市区町村窓口でご確認ください。

所得を判断する「世帯の範囲」を知っておこう

利用料の区分を決める際、18歳以上の障害のある方については、本人と配偶者のみが「世帯」として判断されます。親・兄弟姉妹・祖父母と同居していても、その方たちの収入は世帯所得に含まれません。

このルールにより、ご家族の収入が高くても、本人と配偶者の課税状況が非課税であれば利用料が0円となるケースがあります。配偶者がいる場合は、本人と配偶者の両方が非課税であることが条件です。なお、18歳未満の場合は保護者の属する住民基本台帳での世帯で判断されます。

利用料の区分は前年度の世帯収入をもとに判断されます。
18歳以上の方の場合、親や兄弟の収入は世帯所得に含まれません。
生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯は負担上限月額が0円です。
不明な点はお住まいの市区町村の障害福祉窓口にご相談ください。
  • B型事業所の利用料は原則1割負担で、残りの9割は公費でまかなわれます。
  • 所得に応じた4区分の負担上限月額が定められており、上限を超える請求はありません。
  • 生活保護受給世帯と市町村民税非課税世帯は負担上限月額が0円(免除)です。
  • 18歳以上の場合、所得の判断は本人と配偶者のみ。親や兄弟の収入は対象外です。

利用料が免除・軽減される4つの制度

生活保護・低所得区分以外の方でも、状況によって利用料が減額・免除になる制度があります。食費の軽減、高額給付金の還付、緊急時の特別減免など、複数の制度が用意されています。どの制度が使えるかは自治体や個人の状況によって異なりますので、必ずお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

食事提供体制加算による食費の軽減

B型事業所に通所しながら昼食を利用する場合、食費は原則として利用者の自己負担です。ただし、低所得または一般1(グループホーム利用者で所得割16万円未満を含む)に該当する方は、食材料費のみの負担となる「食事提供体制加算」の対象になります。

厚生労働省の情報によると、この加算が適用されると実際にかかる食費のおおよそ3分の1程度の負担に軽減されます(月22日利用の場合、約5,100円程度の目安)。※要確認事業所ごとに食材料費の設定が異なるため、事前に事業所へ確認しておくとよいでしょう。詳細はお住まいの市区町村の障害福祉窓口にご確認ください。

高額障害福祉サービス等給付費による還付

同一世帯で複数の障害福祉サービスを利用している場合、1か月の利用者負担の合算額が一定の基準額を超えると、超過分が「高額障害福祉サービス等給付費」として後日払い戻される制度があります。

たとえば、B型事業所に通いながら居宅介護なども利用している方は、合算して基準額を超えた分が還付される可能性があります。この給付を受けるには市区町村への申請が必要です。受け取れる場合は自動的に通知が来るわけではないため、複数のサービスを利用している場合は窓口に相談してみるとよいでしょう。

突発的な事情による特別減免

失業・離婚・病気などにより収入が急激に減少した場合、特別な事情として認められれば負担上限月額の引き下げが可能です。市区町村に申請し、その事情が認められると当月または翌月から新しい上限額が適用されます。

収入状況の変化があった場合は、なるべく早くお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談することが大切です。申請が遅くなると、変更後の上限額が適用されるタイミングが遅れる場合があります。

生活保護への移行防止措置

利用料や食費等の実費を負担することで生活保護の対象となってしまう場合、生活保護の対象とならない額まで負担上限月額や食費等実費負担額が引き下げられます。これは「境界層減免」とも呼ばれる措置です。

経済的に厳しい状況にある方でも、この措置によってサービスを継続しやすくなります。ご自身の状況がこの措置の対象になるかどうかは、お住まいの市区町村の障害福祉窓口または相談支援専門員にご相談ください。

  • 食事提供体制加算により、低所得・一般1の方は食費が食材料費のみに軽減されます。
  • 複数サービスを利用している場合は高額障害福祉サービス等給付費の還付を検討しましょう。
  • 失業や病気などで収入が急減した場合は特別減免制度の申請ができます。
  • 利用料負担で生活保護水準を下回る場合は、生活保護移行防止措置が適用されます。

利用料以外にかかる費用と工賃の仕組み

B型事業所の利用料が免除されても、日常的にかかる費用はほかにもあります。一方、事業所での作業を通じて「工賃」を受け取ることができます。費用と工賃の両面を把握しておくと、月々の生活設計が立てやすくなります。

食費・交通費など自己負担となる費用

B型事業所では、利用料とは別に以下のような費用が自己負担になる場合があります。昼食を事業所で提供している場合はその食費、自宅から事業所までの交通費が代表的なものです。昼食代は事業所ごとに異なりますが、1食数百円前後(提供なしの事業所も多くあります)が一般的な目安です。※要確認

交通費については、B型事業所では雇用契約を結ばないため、A型事業所のような交通費支給義務がありません。無料送迎を行っている事業所を選ぶか、自治体の交通費助成制度(自治体によって有無・金額が異なります)を活用することで負担を軽減できる場合があります。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

そのほかに、障害者手帳をお持ちでない方が初めてサービスを申請する際に医師の意見書や診断書(概ね3,000〜5,000円程度の自己負担)が必要になる場合があります。※要確認季節行事などレクリエーション費が発生する事業所もありますので、利用前に事業所へ確認しておくと安心です。

B型事業所の工賃とは何か

B型事業所では、利用者がさまざまな生産活動(農作業・清掃・製品製造・データ入力など)に取り組み、その対価として「工賃」を受け取ります。工賃は雇用契約に基づく賃金とは異なり、最低賃金法の対象外となります。これはB型事業所が雇用契約を結ばない福祉サービスであるためです。

厚生労働省が公表した令和5年度の全国平均工賃(月額)は23,053円です(令和6年度報酬改定に伴い算定方法が変更されたため、前年度比較には注意が必要です)。事業所や作業内容・利用日数によって工賃の水準は大きく異なります。※要確認詳細は各事業所や厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

工賃と利用料の関係

B型事業所の利用料免除の説明図

工賃は利用者個人に支払われる報酬であり、利用料とは別に管理されます。利用料が0円の方も工賃は受け取れますし、利用料が発生する場合でも工賃から自動的に差し引かれるわけではありません。それぞれ独立した支払いとして扱われます。

工賃を食費や交通費に充てつつ、残りを貯蓄や趣味に回すといった生活設計も可能です。工賃の支払い方法(月払い・出来高払いなど)は事業所ごとに異なりますので、利用前に確認しておくとよいでしょう。

費用の種類概要備考
利用料原則1割(世帯所得で上限設定)低所得・生活保護世帯は0円
食費事業所提供の場合は実費低所得等は食材料費のみに軽減
交通費原則自己負担自治体助成や無料送迎を確認
その他レクリエーション費・診断書費用など事業所・状況により異なる
  • 食費・交通費などは利用料とは別の自己負担項目です。事前に事業所に確認しましょう。
  • 令和5年度の全国平均工賃月額は23,053円ですが、事業所・作業内容により大きく異なります。
  • 工賃と利用料は別々に管理されます。工賃から利用料が自動差引きされるわけではありません。
  • 自治体の交通費助成制度や無料送迎サービスを活用して通所コストを抑えましょう。

利用料が免除になるかを確認する方法と申請の流れ

自分が利用料の免除対象かどうか分からないという方は、一人で判断しようとせず、まずは相談窓口を頼ってください。担当者が所得状況を確認しながら、申請に必要なステップを一緒に案内してくれます。

市区町村の障害福祉窓口で確認する

利用料の区分は前年度(または前々年度)の住民税の課税状況で決まります。最初の確認先は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口(障害福祉課・福祉課など)です。窓口では「住民税課税証明書」や世帯状況の情報をもとに、どの区分に当てはまるかを確認してもらえます。

配偶者がいる場合は、本人と配偶者の両方の課税状況が確認対象になります。収入の状況に不安がある場合は、所得の見込みや家族構成も含めて相談員に伝えると、スムーズに確認が進みます。詳細はお住まいの市区町村の障害福祉窓口にご確認ください。

サービス申請から受給者証発行までの手順

B型事業所を利用するには、「障害福祉サービス受給者証」(以下、受給者証)の取得が必要です。受給者証の申請は市区町村の障害福祉窓口で行います。申請時に必要な書類(障害者手帳、または手帳をお持ちでない場合は医師の意見書・診断書など)を窓口で確認してください。

申請後、市区町村が審査を行い、支給決定が下りると受給者証が発行されます。その際、担当の相談支援専門員が「サービス等利用計画」を作成し、どのサービスをどのように利用するかが整理されます。受給者証を受け取ったら、利用したい事業所と見学・体験を経て契約を結び、通所を開始します。なお、審査の結果は個人の状況により異なります。

見学・体験を活用した事業所の選び方

B型事業所は全国に多数あり、提供する作業内容・雰囲気・サポート体制はそれぞれ異なります。利用料の金額だけでなく、食事の提供の有無・送迎サービスの有無・作業内容が自分のペースに合うかどうかも確認しておくとよいでしょう。

複数の事業所を見学・体験利用することが、自分に合った環境を見つける近道です。見学の際に「利用料以外でかかる費用は何か」「工賃の支払い方法はどうか」をスタッフに確認しておくと、後から費用面での驚きを防げます。WAM NET(障害福祉サービス事業所情報)では、地域の事業所を検索することもできます。

自分が免除対象かどうかは、市区町村の窓口に住民税の課税状況を確認してもらうのが最確実です。
受給者証の申請→審査→サービス等利用計画の作成→事業所との契約という流れで利用が始まります。
見学・体験利用で複数の事業所を比較し、費用・作業内容・雰囲気を確かめてから決めましょう。
  • 利用料の区分は前年度の住民税課税状況で決まります。まずは市区町村窓口に確認を。
  • 受給者証の申請→審査→サービス等利用計画→契約という手順で利用が始まります。
  • 見学・体験で複数の事業所を比較し、費用・作業内容・雰囲気を確かめましょう。
  • 事業所選びにはWAM NET(障害福祉サービス事業所情報)も活用できます。

利用中に収入が変わったときの対処法

B型事業所を利用し始めた後も、収入や家族構成が変わると利用料の区分が変動する場合があります。変化があったときに適切に対応することで、余分な負担を避けられます。定期的に状況を確認する習慣を持つとよいでしょう。

収入増加で利用料が発生するようになった場合

就職や副業、配偶者の収入増などによって住民税課税世帯になると、翌年度から利用料の区分が「一般1」や「一般2」に変わる可能性があります。区分が変わると事業所から利用料の請求が始まります。

利用料が新たに発生しても、1か月の上限額(一般1は9,300円、一般2は37,200円)を超えることはありません。※要確認「もし区分が上がったら」と事前にシミュレーションしておくと、生活設計が立てやすくなります。詳細はお住まいの市区町村の障害福祉窓口にご確認ください。

収入が急減した場合の対応

失業・入院・離婚などで世帯収入が急激に落ちた場合は、前の章で紹介した「特別な事情による特別減免」の申請をなるべく早く行いましょう。前年度の住民税をもとに区分が決まっているため、現在の収入と区分が実態と合わないケースがあります。

このような場合でも、申請によって当月または翌月から暫定的な引き下げが認められる可能性があります。一人で抱え込まず、相談支援専門員や事業所のスタッフに相談することが、早期解決への近道です。ご不明な点は相談支援専門員または支援機関にご相談ください。

世帯状況が変わったとき(結婚・離婚・転居など)

結婚・離婚・引越しなど世帯構成が変わると、所得を判断する世帯の範囲にも影響が出ることがあります。例えば、結婚によって配偶者が課税世帯になった場合は、免除対象から外れる可能性があります。

逆に離婚によって配偶者の収入が世帯範囲から外れ、免除対象になるケースもあります。世帯状況に変化があった際は、速やかに市区町村の障害福祉窓口または事業所に連絡し、現在の区分を確認するとよいでしょう。詳細はお住まいの市区町村の障害福祉窓口にご確認ください。

  • 収入増加で区分が変わっても、1か月の上限額を超える請求はありません。
  • 収入が急減した場合は特別減免の申請を早めに行いましょう。
  • 結婚・離婚・転居など世帯変化があった際は速やかに窓口へ連絡を。
  • 困ったときは相談支援専門員や事業所スタッフに早めに相談することが大切です。

まとめ

就労継続支援B型事業所の利用料は、生活保護受給世帯と市町村民税非課税世帯であれば0円(免除)です。利用料には所得に応じた4区分の負担上限月額が定められており、どれだけ多く利用しても上限を超える請求はありません。

まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口に住民税の課税状況を確認してもらい、どの区分に当てはまるかを把握することから始めてみてください。その後、相談支援専門員と一緒にサービス等利用計画を立て、見学・体験を通じて事業所を選ぶのが着実な順序です。

費用の不安は、情報を整理することで多くの場合解決できます。一人で悩まず、窓口やスタッフに相談しながら、自分のペースで次の一歩を踏み出してほしいと思います。

最終確認:2026年03月

本記事の情報は公開時点のものです。制度の詳細や利用要件は、お住まいの市区町村の窓口または相談支援専門員にご確認ください。利用料・工賃・支給額は自治体・事業所・世帯収入により異なります。本記事は特定の事業所・サービスの利用を推奨するものではありません。

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