公務員の障害者雇用率は3.0%|応募前に知っておきたい壁

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公務員の障害者雇用率は、民間企業よりも高い水準に設定されています。国や地方公共団体は障害者を率先して雇用する立場にあるため、障害者雇用促進法のもとで民間企業以上の責任を負っているためです。この違いを知っておくと、就職先の選択肢を考えるうえでの見方が広がります。

この記事では、国・地方公共団体・教育委員会それぞれの法定雇用率の違いや、令和8年7月からの引き上げ内容、公務員として働くための採用試験やチャレンジ雇用の仕組みまで、判断に必要な情報を整理してお伝えします。あわせて、応募前に確認しておきたい配慮の仕組みや相談窓口にも触れています。

公務員として働くことを考えている方は、数字の意味と実際の働き方の両方を知ったうえで、ご自身に合った次の一歩を検討してみてください。

公務員の障害者雇用率はどのくらいか

ここでは、公務員の法定雇用率がどのように設定されているか、民間企業との違いや直近の引き上げ内容を整理します。数字の意味を押さえておくと、応募先を検討する際の判断材料になります。

民間企業と公務員の法定雇用率の違い

厚生労働省の資料では、民間企業の法定雇用率は2.7%とされています。一方で、国や地方公共団体には3.0%、都道府県などの教育委員会には2.9%という、より高い法定雇用率が設定されています。国や地方公共団体は自ら率先して障害者を雇用する立場にあるため、民間企業よりも重い基準が課されています。

この差は、公務部門が社会全体の模範となることを求められている点に理由があります。応募先の候補を考える際は、業種ごとの基準の違いも参考にするとよいでしょう。

国・地方公共団体・教育委員会ごとの数値

同じ公務部門でも、機関の種類によって法定雇用率は異なります。国の機関と都道府県・市町村などの地方公共団体は3.0%、都道府県などの教育委員会は2.9%です。教育委員会の基準がやや低く設定されているのは、教員という職種の特性上、一律の基準を適用しにくい事情が背景にあります。

独立行政法人などについても、別途の法定雇用率が設定されているため、応募を検討する機関ごとに最新の基準を確認しておくと安心です。

令和8年7月からの引き上げ内容

厚生労働省の資料では、令和8年7月1日から法定雇用率が0.2%引き上げられたことが示されています。これにより、国や地方公共団体は3.0%、教育委員会は2.9%という現在の水準になりました。法定雇用率は数年ごとに見直される傾向があり、これまでも段階的な引き上げが繰り返されてきました。

基準が変わると、応募先の機関が新たに採用計画を見直す場合もあります。最新の基準や今後の改定予定については、厚生労働省の障害者雇用対策のページで確認しておくと安心です。

実雇用率の最新集計結果から見える傾向

令和6年の集計結果では、国の実雇用率は3.07%、都道府県は3.05%となっており、当時の法定雇用率を上回る水準でした。一方、市町村は2.75%、教育委員会は2.43%と、当時の基準にわずかに届いていない機関も見られました。この差は、機関の規模や採用の進み方によって生じています。

実雇用率は毎年公表されるため、応募を検討している機関がどの程度の水準にあるかを事前に調べておくと、職場の姿勢を見極める材料になります。数値は年により変動するため、最新の集計結果もあわせて確認しておくとよいでしょう。

令和8年7月1日以降の法定雇用率まとめ
民間企業:2.7%
国・地方公共団体:3.0%
都道府県などの教育委員会:2.9%

数値は改定される場合があるため、最新情報は厚生労働省公式サイトの障害者雇用対策ページでご確認ください。

Q. 教育委員会だけ法定雇用率が低いのはなぜですか。

A. 教員という職種の特性上、一律の基準をそのまま適用しにくい事情があるためです。ただし他の公務部門との差は小さく、引き上げの対象にもなっています。

Q. 法定雇用率と実雇用率はどちらを見ればよいですか。

A. 法定雇用率は義務の基準、実雇用率は実際の達成状況です。応募先の姿勢を知りたい場合は、実雇用率もあわせて確認すると参考になります。

  • 公務員の法定雇用率は民間企業より高い水準に設定されている
  • 教育委員会は他の公務部門よりやや低い基準になっている
  • 令和8年7月から法定雇用率がさらに引き上げられている
  • 実雇用率は機関によって差があるため事前確認が大切

なぜ公務員の雇用率は民間より高いのか

この章では、公務員の法定雇用率が高く設定されている背景と、国や地方公共団体に課されている義務について整理します。制度の成り立ちを知ると、数字の意味がより理解しやすくなります。

障害者雇用促進法における国・地方公共団体の責務

障害者雇用促進法第6条では、国や地方公共団体に対して、自ら率先して障害者を雇用することや、障害者の雇用について事業主その他国民一般の理解を高めることなどの責務が定められています。民間企業に雇用を求める立場である以上、公務部門自身がまず模範を示す必要があるという考え方が基礎になっています。

この責務は努力目標にとどまらず、任免状況の通報や公表といった具体的な義務にも結びついています。国家公務員については国家公務員法の平等取扱いの原則、地方公務員については地方公務員法の平等取扱いの原則がそれぞれの土台になっています。

過去の雇用水増し問題と対策強化の経緯

平成30年ごろ、複数の中央省庁で障害者の雇用数が実態より多く算定されていたことが明らかになり、社会的に大きな問題となりました。この出来事をきっかけに、各省庁や自治体では障害者採用の取り組みが強化され、選考試験の実施やチャレンジ雇用の拡大などが進みました。

制度の透明性を高めるため、対象障害者の確認方法や書類の保存についても、ルールがより厳格に整理されています。手帳の確認方法など、実務上の手続きも具体的に定められるようになりました。

雇用率未達成の場合に求められる対応

国や地方公共団体が法定雇用率を達成できていない場合には、障害者採用計画を作成し、その実施状況を通報する義務があります。あわせて、対象障害者である職員の任免状況についても、通報および公表が求められます。

これらの手続きは、達成状況を継続的に見える化し、改善を後押しする仕組みとして位置づけられています。応募先を検討する際は、直近の実雇用率とあわせて、こうした取り組み状況も参考になります。採用計画の内容は機関ごとに公表される場合があるため、確認しておくと安心です。

公務部門に課せられる主な義務
・対象障害者である職員の任免状況の通報および公表
・障害者の確認に関する書類の保存
・障害者の雇用状況等に関する報告徴収への対応
・未達成の場合の障害者採用計画の作成と実施状況の通報

これらは障害者雇用促進法にもとづく義務として定められています。

たとえば、国や地方公共団体は障害者活躍推進計画を作成し、公表することも求められています。この計画には、職場環境の整備や人事管理の方針など、障害者が働き続けやすい職場づくりに向けた具体的な取り組みが盛り込まれます。作成にあたっては、厚生労働大臣が定める指針に沿って進める仕組みになっています。

  • 国や地方公共団体には自ら率先して雇用する責務がある
  • 過去の水増し問題を経て採用の取り組みが強化された
  • 未達成の場合は採用計画の作成と通報が義務づけられている
  • 障害者活躍推進計画の作成と公表も求められている

公務員として働くための主な採用の仕組み

ここでは、公務員として働くための代表的な採用ルートを整理します。常勤・非常勤といった雇用形態の違いを知っておくと、応募先を選ぶ際の判断がしやすくなります。

障害者を対象とした採用試験(常勤)

人事院や各府省、地方自治体では、障害のある方を対象とした採用試験を実施しています。対象となるのは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかの交付を受けている方が中心です。試験の内容は機関によって異なり、筆記試験や面接を通じて選考が行われます。

常勤職員として採用された場合は、定型的な事務作業を中心とした業務を担当することが多く見られます。募集情報は各府省や自治体のホームページで随時更新されるため、こまめに確認しておくとよいでしょう。

チャレンジ雇用(非常勤)の目的と期間

支援計画の確認のイメージ

チャレンジ雇用は、知的障害や精神障害、身体障害のある方を各府省や自治体が非常勤職員として雇用し、1年から3年程度の業務経験を積んだうえで、ハローワークなどを通じて一般企業への就職につなげる制度です。平成20年度から全府省で実施されるようになりました。

非常勤という性質上、継続的に公務部門で働き続けるものではなく、あくまで一般企業への就職に向けた経験を積む場として位置づけられています。業務内容は一般事務補助が中心で、パソコンでの入力作業や資料整理などを担当する例が多く見られます。

地方自治体における会計年度任用職員としての採用

地方自治体では、教育事務補助員などの名称で、会計年度任用職員として障害のある方を採用する例も見られます。勤務場所によって業務内容は異なりますが、事務補助や環境整備に関する作業を担当することが多く、支援員が配置される場合もあります。

会計年度任用職員は1年ごとの任用が基本となるため、更新の有無や条件については、募集要項で確認しておく必要があります。教育委員会など機関によって募集の名称や配置の仕組みが異なる点にも注意しておきましょう。

就労移行支援事業所を経由して応募準備を進める方法

公務員の採用試験やチャレンジ雇用への応募にあたっては、就労移行支援事業所などの支援機関を利用しながら準備を進める方も多く見られます。応募書類の作成や面接練習、体調管理の相談など、幅広いサポートを受けられる点が特徴です。

チャレンジ雇用の中には、就労支援機関の利用登録やサポート体制の説明書提出が応募条件になっている求人もあるため、事前の確認が欠かせません。応募書類の準備段階から相談できる支援機関を見つけておくと、選考の見通しを立てやすくなります。

項目障害者選考試験(常勤)チャレンジ雇用(非常勤)
雇用形態常勤職員非常勤職員(会計年度任用職員等)
主な目的公務員として継続的に勤務すること一般企業への就職に向けた経験を積むこと
期間の目安定めなし1年から3年程度
選考方法筆記試験・面接など書類選考・面接・実習など

Q. チャレンジ雇用に応募する際、就労支援機関の利用は必須ですか。

A. 求人によって異なりますが、就労支援機関のサポート体制の説明書提出を条件としている例もあります。募集要項を確認しておくと安心です。

Q. 常勤とチャレンジ雇用、どちらを選べばよいですか。

A. 継続的な勤務を希望する場合は常勤の採用試験、まず経験を積みたい場合はチャレンジ雇用が選択肢になります。ご自身の状況に合わせて検討してみてください。

  • 常勤の採用試験は公務員として継続的に働くための選考
  • チャレンジ雇用は一般企業への就職を見据えた非常勤の制度
  • 会計年度任用職員としての採用例も見られる
  • 就労移行支援事業所のサポートを受けながら準備する方法もある

公務員として働く場合の配慮と働き方

この章では、公務員として働く際にどのような配慮の仕組みが用意されているか、実際の業務内容や定着率のデータとあわせて整理します。働き方のイメージをつかむ参考にしてください。

合理的配慮の提供義務

公務員の勤務条件は法律で個別に定められているため、合理的配慮の提供義務についても独自の法体系のもとで対応が図られています。国家公務員については国家公務員法の規定にもとづき、地方公務員については障害者雇用促進法の規定が適用されます。

人事院や内閣人事局では、具体的な配慮の事例集を公表しており、職場ごとの対応の参考にされています。地方公共団体向けにも同様の事例集が用意されており、通勤や勤務時間の調整など、具体的な工夫の例が紹介されています。応募前にこうした事例集に目を通しておくと、配慮の実態をイメージしやすくなります。

障害者職業生活相談員・雇用推進者の役割

事業所内に5人以上の障害者がいる場合には、障害者職業生活相談員が選任され、職業生活に関する相談に応じます。また、任命権者ごとに障害者雇用推進者が選任され、機関内の取り組み状況を把握しながら、法定雇用率の達成や職場環境の整備を進めます。

相談員には認定講習の受講が資格要件の一つとなっており、専門的な知識をもとにした対応が期待されています。厚生労働省は国や地方公共団体の職員を対象に、この認定講習を実施しており、相談員としての質の確保を図っています。相談員が身近にいることは、働き続けるうえでの安心材料になります。

実際の業務内容の例

常勤・非常勤を問わず、公務員として働く場合は、旅費や謝金の支払業務、出勤簿の管理、事務用物品の管理、文書や資料の作成といった定型的な事務作業を担当する例が多く見られます。パソコンでのデータ入力や集計作業も代表的な業務のひとつです。

人事異動によって、通関業務や情報管理といった別の職務に関わる場合もあり、業務内容は配属先や本人の希望によって変わります。実際にどのような業務を担当することになるかは、応募前の面接や実習の場で具体的に質問しておくと、入職後のギャップを減らせます。

定着率から見る働きやすさの傾向

国の行政機関を対象とした調査では、障害者の職場定着率が高い水準にあることが報告されています。ジョブコーチによる継続的なフォローアップや、相談員による日常的な面談などの支援体制が、定着率の高さにつながっていると考えられます。

働きやすさは職場ごとに差があるため、見学や実習の機会があれば、実際の支援体制を確認しておくと安心です。民間企業の職場定着率と比較しても、公務部門は比較的高い水準にあることが調査から示されています。

公務員として働く場合に用意されている支援体制
・合理的配慮の提供義務(国家公務員法・障害者雇用促進法にもとづく)
・障害者職業生活相談員による相談対応
・障害者雇用推進者による職場環境の整備
・ジョブコーチによる継続的なフォローアップ

支援の具体的な内容は機関や職場によって異なります。

たとえば、ある省庁のチャレンジ雇用の現場では、支援員が教育事務補助員2名につき1名の割合で配置され、業務のやり方やビジネスマナーを日常的に伝えながら、就労支援機関とも連携して定着を後押ししています。こうした体制は、初めて働く方にとって心強い支えになります。

  • 公務員にも合理的配慮の提供義務が法律で定められている
  • 相談員や雇用推進者による支援体制が整えられている
  • 業務内容は定型的な事務作業が中心になりやすい
  • 職場によって支援体制に差があるため見学や実習で確認するとよい

応募準備で確認しておきたいポイント

最後に、公務員として働くための応募準備で押さえておきたい確認項目を整理します。手帳の要件や相談窓口を知っておくと、準備を進めやすくなります。

障害者手帳の種類と対象要件

公務員の障害者採用試験やチャレンジ雇用の対象となるのは、身体障害者手帳、療育手帳(自治体によっては名称が異なります)、精神障害者保健福祉手帳のいずれかの交付を受けている方が中心です。手帳を取得していない場合でも、指定医の診断書などで対応できる求人もあります。

応募を検討する際は、募集要項に記載された対象要件を必ず確認し、必要な書類を早めに準備しておくと安心です。手帳の申請から交付まで一定の期間がかかる場合もあるため、応募を考え始めた時点で自治体の窓口に相談しておくとよいでしょう。

就労移行支援を利用した準備の進め方

就労移行支援事業所では、応募書類の作成支援や模擬面接、体調管理の相談など、公務員を目指す方に向けたサポートを行っている事業所もあります。事業所によって得意分野が異なるため、公務員試験の対策実績がある事業所を探すことも一つの方法です。

見学の際には、これまでの就職先の実績や、面接対策の具体的な内容について質問してみるとよいでしょう。担当スタッフとの相性も、長く通ううえで無理なく続けられるかを左右する要素になります。

トラブル時の相談窓口

採用選考や勤務開始後に困りごとが生じた場合には、人事担当部署のほか、就労支援機関やハローワークに相談する方法があります。生活全般に関する相談であれば、国民生活センターなどの窓口も選択肢になります。

一人で抱え込まず、早めに窓口へ相談することが、状況の改善につながりやすくなります。相談先が複数あることを知っておくだけでも、いざというときの安心材料になります。就労移行支援の利用中であれば、事業所の担当者を通じて相談する方法もあります。

確認項目確認先の例
対象となる手帳の種類募集要項・自治体の障害福祉窓口
採用試験の日程・内容人事院・各府省・自治体の採用情報ページ
就労支援機関の対応実績就労移行支援事業所の見学・相談
勤務開始後の相談窓口人事担当部署・就労支援機関・ハローワーク

たとえば、見学の際には「これまでどのような業務を担当してきたか」「支援員や相談員はどのくらいの頻度で面談しているか」といった質問をしておくと、入職後の働き方をイメージしやすくなります。募集要項だけでは分からない実際の雰囲気も、見学や実習を通じて確認できます。

  • 対象となる手帳の種類は募集要項で必ず確認する
  • 就労移行支援事業所のサポートを活用する方法もある
  • 困りごとは人事担当部署や支援機関に早めに相談する
  • 見学や実習で実際の業務内容や支援体制を確認しておく

まとめ

公務員の障害者雇用率は、令和8年7月1日以降、国や地方公共団体で3.0%、都道府県などの教育委員会で2.9%と、民間企業の2.7%より高い水準に設定されています。この数字の背景には、公務部門が自ら率先して雇用を進める責務があるという考え方が土台になっています。常勤の採用試験だけでなく、チャレンジ雇用や会計年度任用職員など、複数の働き方があることも押さえておきたいポイントです。

まずは、応募を検討している機関の直近の実雇用率や採用試験の募集要項を確認し、対象となる手帳の種類や選考の流れを具体的に把握することから始めてみてください。

数字だけを見るのではなく、実際の支援体制や働き方まであわせて確認しながら、ご自身に合った選択肢を見つけていってくださいね。

本記事の内容は、厚生労働省・自治体などの公的機関の公開資料をもとに整理したものです。制度・利用条件・支給額などは改正・変更される場合があります。最終的な判断や申請手続きの前には、必ずお住まいの自治体窓口や各事業所の最新情報をご確認ください。

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