就労移行支援を検討していると、「マナビー(manaby)とリタリコワークス(LITALICOワークス)のどちらを選べばいいのか」という疑問にぶつかる方は少なくありません。どちらも障害のある方の就労を支援する事業所として知名度が高く、それぞれに強みがあります。
この2つの事業所が選ばれる理由は、支援スタイルが明確に異なる点にあります。マナビーはITスキル習得と在宅訓練を軸とし、リタリコワークスは通所型の総合支援を軸としています。どちらが優れているという話ではなく、利用者の生活スタイルや目指す働き方によって、向き・不向きが変わります。
この記事では、2つの事業所の特徴を支援内容・在宅対応・サポート体制・就職実績という4つの視点から整理します。事業所を選ぶ際に見落としやすいポイントも取り上げますので、検討の参考としてお役立てください。
マナビーとリタリコワークスの基本情報を整理する
2つの事業所を比べるとき、まず確認しておきたいのが事業規模と支援の基本方針です。拠点数や対応エリアの違いは、通所の可否だけでなく、支援スタイル全体に関わる要素です。
拠点数と対応エリアの違い
リタリコワークスは全国130拠点以上を展開しており、都市部から地方都市まで幅広く事業所を設けています。通所型の支援を希望する方にとって、自宅近くに拠点があることは安心材料のひとつです。
マナビーは事業所の拠点数こそリタリコワークスより少ないものの、在宅訓練を前提とした支援体制を整えています。インターネット環境があれば全国どこからでも同じ水準の支援を受けられる点が特徴で、地方在住の方や外出が難しい状況にある方にも対応しやすい設計になっています。
ただし、マナビーを在宅中心で利用するには自治体の許可が必要で、月に1回程度の通所が求められます。在宅利用を前提に検討する場合は、事前に居住地の自治体窓口で確認しておくとよいでしょう。
障害種別ごとの対応範囲
両事業所とも、発達障害・精神障害・うつ・引きこもり経験のある方など、幅広い障害種別・状態に対応しています。障害者総合支援法に基づく就労移行支援として、障害福祉サービス受給者証を持つ方が利用対象となります。
リタリコワークスは、社会参加や対人スキルの向上を重視した支援が特徴で、職場環境に慣れる訓練を通所で積みたい方に適しています。マナビーは、在宅で自分のペースを保ちながら学びたい方や、通所にハードルを感じている方向けの支援方針を軸にしています。
なお、障害者手帳を持っていない場合でも、医師の診断書や意見書があれば利用できるケースがあります。詳細は居住地の自治体の障害福祉窓口で確認するのが確実です。
利用料と受給者証の仕組み
就労移行支援は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつで、利用料は原則として前年度の世帯所得に応じた月額上限負担額(0円〜37,200円)が設定されています。市区町村民税が非課税の世帯であれば、利用料は0円になります。
利用を始めるには、福祉サービス受給者証の取得が必要です。居住地の市区町村の窓口に申請し、認定調査・支給決定を経て受給者証が交付されます。マナビー・リタリコワークスのどちらも、利用手続きのサポートを行っているため、事前相談の際に手続きの流れを確認しておくとスムーズです。利用料や減免の詳細は、厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」ページまたは居住地の福祉窓口でご確認ください。
受給者証の申請先は居住地の市区町村窓口。利用開始まで1〜2か月程度かかるケースが多い。
マナビーの在宅利用は自治体の許可が必要で、月1回程度の通所が条件となる。
- リタリコワークスは全国130拠点以上、通所型の支援に強み
- マナビーは在宅訓練を前提とした支援で、地域を問わず利用できる
- 障害者手帳がない場合でも、診断書等で利用できるケースがある
- 利用料は世帯所得に応じた月額上限制(非課税世帯は原則0円)
- 受給者証の取得は居住地の市区町村窓口で手続きする
支援内容とカリキュラムの違いを比べる
2つの事業所の最も大きな違いは、支援の中心となるカリキュラムの方向性にあります。どちらの方針が自分の目標や状態に合っているかを確認することが、事業所選びの出発点になります。
マナビーのeラーニング・ITスキル支援
マナビーの支援の軸は、ITスキルの習得に特化したeラーニングプログラムです。WebデザインやPhotoshop・Illustratorといったデザインツール、動画編集、プログラミング(JavaScriptやPythonなど)、ライティングといった実践的なスキルを、動画教材と演習課題を組み合わせた形で学びます。
カリキュラムは自分のペースで進めることができ、字幕付きの教材も用意されているため、集中力や処理速度に個人差がある方でも取り組みやすい設計になっています。支援員とのやり取りはチャットやビデオ通話を中心に行い、進捗の管理や相談のフォローが受けられます。
在宅で学べる点は、外出が難しい状況にある方や体調に波がある方にとって大きなメリットです。ただし、スキル習得を主軸としているため、対人スキルやビジネスマナーの実践的な訓練は、リタリコワークスと比べると比重が異なります。自分がどの力を優先して身につけたいかを事前に整理しておくとよいでしょう。
リタリコワークスの総合支援プログラム
リタリコワークスは、「自己理解」「ストレスコントロール」「就職活動」など200種類以上のプログラムを提供する総合型の就労移行支援事業所です。通所を通じて生活リズムを整えることを支援の基礎に置き、ビジネスマナーや報告・連絡・相談といった職場で求められるコミュニケーションスキルを実践的に習得できます。
一人ひとりの課題・目標に合わせたオーダーメイドの支援計画を作成し、模擬面接・履歴書作成・企業実習など就職活動全般を通所環境で段階的に進めます。グループワークや集団活動も多く、対人スキルや協働作業の感覚を職場に近い形で体験できる点が特徴です。
プログラムの多様さは、就職先の職種の幅にも反映されています。事務・接客・介護・製造など多様な職種への就職実績があり、目指す職種のイメージが固まっていない段階から支援を受けやすい環境が整っています。
2つの事業所の支援方針を整理する
以下の表は、支援の方向性を整理したものです。どちらが優れているという評価ではなく、利用者の状況や目標に合わせて確認してください。
| 比較項目 | マナビー | リタリコワークス |
|---|---|---|
| 支援の軸 | ITスキル習得・在宅訓練 | 総合的な就労準備・通所型支援 |
| カリキュラム | eラーニング・動画教材中心 | 200種類以上のプログラム |
| 対人訓練の比重 | 比較的低め | グループワーク・実習で重視 |
| 目指しやすい職種 | IT系・Web・事務・在宅ワーク | 事務・接客・介護など多様 |
| 通所の必要性 | 基本不要(月1回程度は必要) | 週3〜5日程度の通所が基本 |
- マナビーはITスキル特化、在宅で自分のペースを保ちたい方に向く
- リタリコワークスは総合支援、通所で段階的に社会参加を目指す方に向く
- どちらも障害の種別を問わず幅広い方を対象としている
- 目指す職種や必要なスキルに合わせてカリキュラムを選ぶとよい
在宅対応とサポート体制を確認する

通所か在宅かという選択は、日常の生活スタイルに直結する問題です。体調管理や家庭の事情、居住地の状況によって、どちらが現実的かは人によって異なります。
マナビーの在宅利用の仕組みと条件
マナビーは、在宅訓練を明確に打ち出している就労移行支援事業所です。パソコンとインターネット環境があれば、全国どこからでもプログラムに参加でき、eラーニングの受講・支援員との面談・進捗確認がオンラインで完結します。
ただし、在宅中心での利用には自治体の許可が必要です。月に1回程度の通所を条件として在宅訓練が認められるケースが多く、完全在宅を希望する場合は事前にマナビーに相談し、自治体への申請を行う必要があります。
在宅利用では孤立しないよう、チャットや定期面談を通じたこまめなコミュニケーションが設けられています。進捗管理システムで学習状況を可視化できるため、「自分がどこまで進んでいるか」を確認しながら取り組めます。在宅利用の詳細な条件については、マナビー公式サイトおよび居住地の自治体窓口でご確認ください。
リタリコワークスの通所型支援の特徴
リタリコワークスの支援は通所を基本としています。毎日の通所が生活リズムを整える訓練の一部として位置づけられており、働く習慣を自然な形で身につけられる環境が整っています。
通所することで支援員や他の利用者と直接接するため、職場でのやり取りに近い対人経験を積む機会になります。「定時に来所し、プログラムに参加して帰る」という流れを繰り返すことで、就職後の生活サイクルへの移行がスムーズになる効果も期待できます。
部分的にオンラインを活用するケースもありますが、基本的には対面での支援を軸にしているため、近くに拠点がない場合は通所が難しいことがあります。最寄りの事業所については、WAM NET(障害福祉サービス事業所検索)でも確認できます。
就職後のフォロー体制の違い
就労移行支援の役割は就職活動の支援にとどまらず、就職後の定着支援も含まれます。障害者総合支援法では、就労移行支援事業所による就労後の一定期間の定着支援が想定されており、別途「就労定着支援」という制度も設けられています。
マナビーでは、就職後も定期的な面談やオンラインでのフォローを継続し、在宅就労者が孤立しないよう支援します。リタリコワークスでは、専任スタッフによる対面相談や医療機関・企業との連携を通じた定着支援が行われています。いずれも就職を「ゴール」とせず、長く働き続けることを見据えた支援体制を持っています。
マナビーはオンライン中心、リタリコワークスは対面・企業連携中心のフォローが特徴。
就職後のサポート内容は事前見学・相談時に確認しておくとよいでしょう。
- マナビーは在宅利用可能だが、自治体の許可と月1回程度の通所が条件
- リタリコワークスは通所を基本とし、生活リズムの習慣化に強み
- 就職後のフォローはどちらも対応しているが、方法が異なる
- 定着支援の制度詳細は厚生労働省ページで確認できる
向いている人のタイプと選び方の判断軸
どちらの事業所が合っているかは、支援の質の優劣ではなく、利用者自身の状況・目標・生活スタイルによって変わります。以下の視点で整理すると、判断しやすくなります。
マナビーが向いている人の特徴
マナビーは、通所に強いハードルを感じている方や、体調の波が大きく定期的な外出が難しい方に向いています。外出せずに自宅で就労準備を進められる環境は、精神的な負担を軽減しながらスキルを身につけるうえで有効です。
特に、IT系・Web系・在宅ワークを将来の働き方として考えている方には、eラーニングで学んだスキルが就職後に直結しやすいという強みがあります。プログラミング・Webデザイン・事務スキルなどを段階的に学べるため、ITに関心があるが経験がないという方でも取り組みやすい環境が整っています。
一方で、対人スキルやチームワークの実践訓練を重視したい場合、在宅主体の支援では経験を積む機会が限られます。就職後に対面の職場環境に入ることを想定している場合は、その点を事前相談で確認しておくとよいでしょう。
リタリコワークスが向いている人の特徴
リタリコワークスは、人との関わりを通じてコミュニケーションスキルや社会参加の感覚を取り戻したい方に向いています。対面でのグループワークや職場実習を重ねることで、「働く場所に通う」という感覚を段階的に習得できます。
事務・接客・介護・製造など幅広い職種への就職実績があり、IT以外の職種を目指している方や、自分に合った職種をこれから探したい方にも対応しやすい支援内容です。近くに拠点があり、通所環境が確保できる方であれば、毎日の通所が働く習慣づくりのリズムになります。
ただし、週3〜5日程度の通所が基本となるため、体調が不安定で出席が難しい期間が続く場合は、事前に支援員へ相談しておくことが大切です。
迷ったときの判断手順
2つの事業所で迷ったときは、次の順で確認すると判断がしやすくなります。まず「在宅で学ぶか、通所で学ぶか」を軸に考え、次に「目指す職種・働き方がある程度決まっているか」を確認します。
目指す働き方がIT・Web・在宅ワークであればマナビー、対人スキルや多様な職種経験を積みたければリタリコワークスが検討対象になります。いずれも無料の見学・体験会が設けられていますので、まずは相談・見学から始めることを検討してみてください。両事業所の最新の支援内容や見学予約については、各公式サイトで確認できます。
どちらの事業所も無料見学・体験が可能。実際に雰囲気を見てから判断することで、ミスマッチを防ぎやすくなります。
- マナビーは在宅・IT特化型、通所が難しい方や在宅ワーク志望の方に向く
- リタリコワークスは通所・総合支援型、対人スキルを段階的に高めたい方に向く
- どちらも無料見学・体験が可能なため、申し込み前に利用するとよい
- 自分の体調・生活スタイルと支援の基本スタイルが合っているかを確認する
利用開始前に確認しておきたい手続きの流れ
就労移行支援の利用は、事業所を選んだだけでは始まりません。障害福祉サービス受給者証の取得を含む行政手続きが必要で、利用開始まで一定の期間がかかります。
受給者証の申請から利用開始までの流れ
就労移行支援を利用するには、まず市区町村の障害福祉窓口に申請し、福祉サービス受給者証を取得する必要があります。申請には本人確認書類・障害者手帳または医師の診断書・意見書等が必要で、認定調査・審査を経て支給が決定されます。
受給者証が交付されたら、利用する事業所と個別支援計画を作成し、サービス利用契約を結びます。申請から利用開始まで、自治体によって1か月〜2か月程度かかるケースがあります。事業所によっては受給者証の申請手続きを一緒にサポートしてくれるため、「手続きが不安」という場合は事前相談の際に確認してみてください。
見学・体験の活用方法
マナビー・リタリコワークスとも、正式利用前に無料の見学・体験ができます。リタリコワークスでは実際のプログラムを体験する「プログラム体験会」が定期的に開催されており、支援員との相談も行えます。マナビーはオンラインでの説明会・体験が可能で、eラーニングの雰囲気やサポートの流れを自宅から確認できます。
見学・体験時には、支援員との相性・事業所の雰囲気・就職実績・通所頻度・在宅対応の条件といった点を確認しておくと、後からのミスマッチを防ぎやすくなります。複数の事業所を見学・体験してから決めることも選択肢のひとつです。
相談先と公的機関の活用
事業所選びに迷った場合や、支援内容について中立な立場から情報を得たい場合は、公的な相談窓口を活用するとよいでしょう。市区町村の障害福祉窓口のほか、相談支援専門員(計画相談支援)に依頼することで、生活状況や目標に合わせた支援計画の作成とサービス調整を受けられます。
WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)が提供する障害福祉サービス事業所検索では、地域の就労移行支援事業所の情報を一覧で確認できます。事業所の所在地・定員・提供サービスなどを調べる際に役立ちます。
- 利用には受給者証の取得が必要(申請から交付まで1〜2か月程度)
- 申請先は居住地の市区町村の障害福祉窓口
- 手続きの流れは事業所スタッフがサポートするケースが多い
- 見学・体験は複数事業所で実施してから判断するとよい
- 相談支援専門員を活用すると、中立な立場で支援調整が受けられる
まとめ
マナビーとリタリコワークスは、どちらも障害者総合支援法に基づく就労移行支援として、働くことを目指す方の準備を支える事業所です。支援スタイルが明確に異なるため、自分の生活状況・目指す働き方・必要なスキルと照らして選ぶことが大切です。
まず「在宅で学ぶか、通所で学ぶか」を出発点に、次に「目指したい職種や働き方」を整理してみてください。そのうえで、見学・体験を通じて実際の雰囲気を確認することが、後悔しない選択につながります。
事業所選びに迷ったときは、市区町村の障害福祉窓口や相談支援専門員に相談することもできます。一人で抱え込まず、利用できる相談の場を活用しながら、自分に合った一歩を踏み出してみてください。

