障害支援区分6は、障害福祉サービスを利用するうえで、必要とされる支援の度合いが最も高い区分です。ただし、特定の障害名や身体障害者手帳の等級だけで決まるものではありません。食事や移動、意思疎通、行動面、医療的な支援などを総合して判定されます。
「区分6なら何も自分でできないのか」「働くことは難しいのか」と不安になる方もいるでしょう。実際には、全面的な身体介助が必要な方だけでなく、行動面や意思疎通で継続的な支援が必要な方も含まれます。同じ区分6でも、必要な支援の内容は一人ひとり異なります。
この記事では、障害支援区分6がどれくらいの支援状態を示すのか、認定の仕組み、利用対象になり得るサービス、就労移行支援などとの関係を整理します。区分の数字だけで将来を決めつけず、必要な支援を具体化する材料として読み進めてください。
障害支援区分6はどれくらいの支援が必要な状態か
区分6を理解する際は、「障害が最も重い人」と単純化せず、日常生活や社会生活で必要となる支援量が高い状態と捉えることが大切です。まず、制度上の意味と代表的な支援場面を整理します。
6段階の中で必要な支援の度合いが最も高い
障害支援区分は、障害者総合支援法に基づき、障害のある方に必要とされる標準的な支援の度合いを示す区分です。区分1から区分6まであり、数字が大きいほど、日常生活や社会生活で多くの支援が必要と判定されたことを表します。
区分6は6段階の最上位ですが、病気や障害そのものの重症度ランキングではありません。厚生労働省の研修資料でも、各区分は障害種別や症状の状態を直接示すものではなく、「必要な支援の量」を尺度にしていると説明されています。そのため、同じ診断名でも区分が異なる場合があります。
生活の多くの場面で継続的な介助や見守りが必要になる
区分6では、移動、食事、入浴、排せつ、着替え、服薬管理、金銭管理など、生活の複数場面で全面的または継続的な支援が必要になるケースがあります。夜間も体位変換や排せつ、医療機器の管理などが必要で、支援が日中だけで終わらない方もいます。
一方で、身体動作の一部を自分で行える方でも、危険の認識が難しい、外出後に戻れない、突発的な行動があるなど、安全を保つための見守りや介入が多い場合があります。「できる動作があるから区分6ではない」とは限りません。
身体介助だけでなく意思疎通や行動面も評価される
区分6の状態像には、重い身体障害による介助だけでなく、知的障害や精神障害、発達障害などに伴う意思疎通や行動面の支援も含まれます。本人の希望をくみ取るために時間がかかる場合や、環境変化への強い不安から個別対応が必要な場合も評価対象です。
医療的ケアが必要な方、強度行動障害と呼ばれる著しい行動上の困難がある方なども区分6になることがあります。ただし、区分6だから必ず人工呼吸器を使用している、寝たきりである、強度行動障害があるという意味ではありません。
身体介助、見守り、意思疎通、行動面、医療面を総合して判定されます。
同じ区分6でも、支援内容や生活の様子は一人ひとり異なります。
- 区分6は1から6の中で最も高い支援区分です
- 障害名や手帳等級だけでは決まりません
- 生活全般の介助だけでなく見守りや行動面も対象です
- 区分6の全員が同じ状態ではありません
障害支援区分6が決まる認定調査の仕組み
区分6は、自己申告だけでも、医師の診断だけでも決まりません。市町村の認定調査、医師意見書、コンピュータによる一次判定、市町村審査会の二次判定を経て認定されます。
認定調査では80項目から支援の必要性を見る
認定調査では、市町村の認定調査員が本人や家族などと面接し、共通の80項目を確認します。主な分野は、移動や動作、身の回りの世話と日常生活、意思疎通、行動障害、特別な医療です。単に「できる・できない」だけでなく、見守りや部分支援、全面支援が必要かを見ます。
たとえば、食事動作ができても、誤えんを防ぐ見守りや食形態の調整が欠かせない場合があります。金銭管理も、財布を持てるかではなく、適切に支払い、残金を管理できるかという支援の実態が関係します。普段受けている介助を外して答えないことが大切です。
医師意見書と特記事項が個別事情を補う
市町村は主治医などに医師意見書の作成を依頼します。医師意見書には、疾病、身体の状態、精神面、行動面、特別な医療などが記載され、一部の項目は一次判定にも使われます。診察室で見える状態と自宅での生活が異なる場合は、生活上の困りごとを事前に伝えておくとよいでしょう。
認定調査の選択肢だけでは表しにくい状況は、特記事項に記載されます。週に何回起きるか、どのような支援が必要か、支援しないと何が起こるかまで具体化すると、審査会が実態を把握しやすくなります。家族の介助で問題が表面化していない場合も、その介助量を説明する必要があります。
一次判定と市町村審査会の二次判定で決まる
一次判定では、認定調査80項目と医師意見書の一部を基に、判定ソフトが支援の必要度を数量化します。その後、市町村審査会が一次判定を精査し、認定調査の特記事項や医師意見書の追加情報を総合して二次判定を行います。
この仕組みからも、「この項目ができなければ必ず区分6」という単純な線引きはありません。複数の支援ニーズの組み合わせと、支援の頻度や程度が反映されます。最終的には市町村が認定し、申請者へ結果を通知します。
| 段階 | 主な内容 | 伝えるポイント |
|---|---|---|
| 認定調査 | 80項目と概況を確認 | 普段の介助を含む実態を答える |
| 医師意見書 | 医学的・精神的な状態を記載 | 生活上の困難を主治医へ共有する |
| 一次判定 | 調査結果などを判定ソフトで処理 | 単一項目ではなく組み合わせで判定される |
| 二次判定 | 市町村審査会が個別事情を審査 | 特記事項が実態を補う |
- 認定調査は共通の80項目で行われます
- 医師意見書も判定資料になります
- 特記事項には支援の頻度や具体的な介助内容が反映されます
- 一次判定だけでなく市町村審査会の二次判定があります
区分6で利用対象になり得る障害福祉サービス
区分6になると、支援区分を利用条件とする介護給付の対象範囲が広がります。ただし、区分6だけで利用が確定するわけではなく、年齢、障害特性、生活状況、本人の希望などを踏まえて支給決定されます。
重度訪問介護や重度障害者等包括支援
重度訪問介護は、重度の肢体不自由、知的障害、精神障害により常時介護を要する方に、居宅での介護や外出時の支援などを総合的に提供するサービスです。対象要件には障害支援区分や認定調査項目などが関係し、区分6であっても個別要件を満たす必要があります。
重度障害者等包括支援は、常時介護を必要とし、意思疎通に著しい困難がある区分6の方のうち、さらに定められた状態に該当する方が対象です。居宅介護や生活介護、短期入所など複数のサービスを包括的に提供します。区分6全員が対象になる制度ではありません。
生活介護や短期入所、施設入所支援
生活介護は、常時介護を必要とする方に、主として昼間、入浴、排せつ、食事などの介護や創作的活動、生産活動の機会を提供します。一般に障害支援区分3以上が対象の軸となり、50歳以上では区分2以上が基準となる場合がありますが、個別要件を公式情報で確認してください。
短期入所は、介護者の病気や休息などにより一時的な入所が必要なときに利用するサービスです。施設入所支援は主として夜間の介護や生活支援を提供します。区分6では必要性が高くても、地域の空き状況や支給量によって希望どおり利用できない場合があります。
共同生活援助では支援内容と体制を確認する

共同生活援助は、グループホームで相談、食事、入浴、排せつなどの日常生活支援を受けるサービスです。区分6の方も利用できますが、医療的ケア、夜間の支援、行動面への対応など、必要な支援を事業所が提供できるかを確認する必要があります。
見学時は、夜間職員の配置、緊急時の連絡体制、通院支援、服薬管理、食事形態、バリアフリー設備、行動障害への研修体制などを具体的に尋ねるとよいでしょう。区分だけで事業所を選ばず、個別支援計画に必要な内容を落とし込めるかが判断軸です。
実際の利用可否は、各サービスの対象要件と市町村の支給決定で決まります。
必要な時間数や事業所の受入体制も併せて確認してください。
- 区分6でも各サービスの個別要件を満たす必要があります
- 重度障害者等包括支援は区分6だけでは対象になりません
- 短期入所や施設入所は空き状況の影響も受けます
- グループホームは夜間や医療面の支援体制を確認します
障害支援区分6でも就労移行支援は利用できるか
区分6と認定されても、働く希望や就労支援の利用可能性が自動的に否定されるわけではありません。就労系サービスは、介護給付とは異なる考え方で利用対象や支援内容が決まります。
就労移行支援は障害支援区分を利用条件にしていない
就労移行支援は、一般企業などへの就職を希望し、就労が見込まれる方に、訓練、求職活動、職場開拓、就職後の定着に向けた支援を行うサービスです。原則として障害支援区分の認定を利用条件としていないため、区分6であることだけを理由に利用できないとはいえません。
ただし、通所できる体調や生活リズム、訓練への参加方法、介助者の同行、事業所内で必要な身体介助や医療的ケアなどは個別に検討されます。就労移行支援事業所が提供できる支援範囲を超える場合は、居宅介護など他サービスとの組み合わせも含めて市町村や相談支援専門員と調整します。
働けるかどうかは区分の数字だけでは決まらない
障害支援区分は生活全般で必要な支援量を示す制度であり、職業能力や働く意欲を直接測るものではありません。移動や日常生活に多くの介助が必要でも、パソコン操作、意思伝達装置、在宅勤務、短時間勤務などにより、本人の強みを生かせる場合があります。
一方、区分6だから働くべきだ、働けるはずだと考えるのも適切ではありません。体調の安定、安全確保、本人の意思、疲労の程度、支援者の確保を優先し、福祉的就労や日中活動を含めて選択肢を比べます。就労は本人の生活目標に沿って検討するものです。
事業所には必要な配慮を具体的に伝える
就労移行支援の見学や相談では、「区分6です」と伝えるだけでは支援内容が伝わりません。移乗に介助が必要、文字盤で意思を伝える、静かな部屋で休憩が必要、予定変更を事前に知らせてほしいなど、必要な配慮を場面ごとに整理します。
支援員志望者も、区分の数字から本人の可能性を推測しない姿勢が必要です。できること、支援があればできること、避けるべき環境を本人と共有し、相談支援事業所や医療機関、家族などと連携します。支援の目的は代わりに決めることではなく、本人の選択を支えることです。
| 確認項目 | 具体例 |
|---|---|
| 通所方法 | 送迎、移動支援、車いす動線、在宅訓練の可否 |
| 介助内容 | 移乗、排せつ、食事、姿勢調整、服薬確認 |
| 意思疎通 | 文字盤、端末、やさしい説明、選択肢の提示 |
| 環境調整 | 静かな席、休憩場所、照明や音への配慮 |
| 緊急対応 | 発作や体調悪化時の手順、連絡先、医療連携 |
- 就労移行支援は原則として障害支援区分を利用条件にしません
- 区分6は職業能力を直接示す数字ではありません
- 必要な介助や配慮は具体的な場面で伝えます
- 他の障害福祉サービスとの併用は市町村へ相談します
区分6の申請や更新で実態を伝える準備
認定結果を予測するための自己採点よりも、普段の支援実態を正確に伝える準備が役立ちます。家族の介助で困難が見えにくくなっている場合や、日による変動が大きい場合は特に記録が大切です。
できる日ではなく普段の状態を基準にする
認定調査では、たまたま調子がよい日の様子だけを答えると、必要な支援が十分に伝わらない場合があります。反対に、最も悪い一日だけを基準にするのでもなく、一定期間の通常の状態、頻度、変動幅を説明すると実態に近づきます。
「入浴できる」と答える場合でも、声かけだけでよいのか、浴室まで誘導が必要か、洗身や着替えに全面介助が必要かで支援量は違います。支援を受けた結果としてできていることは、その支援内容も併せて伝えてください。
1週間の支援記録を作っておく
申請前に、朝、昼、夜の支援内容を1週間ほど記録すると、説明しやすくなります。項目は、移動、食事、排せつ、入浴、服薬、外出、意思疎通、行動面、夜間対応、医療的ケアなどに分け、誰が何分程度支援したかを書きます。
日による差がある場合は、良い日と難しい日の割合も残します。突発的な行動や発作などは、起きた回数だけでなく、前兆、必要な対応、落ち着くまでの時間、安全上の危険も記録します。記録は認定を高くするためではなく、必要な支援を過不足なく伝えるための資料です。
結果に疑問がある場合は市町村へ理由を確認する
想定と異なる区分になった場合は、まず通知書の内容と認定の有効期間を確認し、市町村の障害福祉担当窓口へ判定や手続きについて尋ねます。心身の状態や介護状況が変化した場合は、有効期間の途中でも区分変更を申請できることがあります。
処分に納得できない場合には、行政不服審査法に基づく審査請求などの手続きが関係することもあります。期限や提出先が定められているため、通知書、市町村の案内、都道府県の公式ページで最新情報を確認してください。相談支援専門員にも状況を共有するとよいでしょう。
ミニQ&Aでよくある疑問を整理する
Q1.身体障害者手帳1級なら必ず区分6ですか。
必ずではありません。手帳等級と障害支援区分は目的と判定方法が異なります。手帳が重い等級でも区分6以外になる場合があり、反対に身体介助以外の支援ニーズから区分6になる場合もあります。
Q2.区分6になると利用料は必ず高くなりますか。
利用者負担は原則として所得に応じた月額上限などで扱われ、区分の数字だけで単純に決まりません。食費や家賃など実費もあるため、受給者証、市町村の負担上限月額、事業所の費用表を確認してください。
- 普段受けている支援を含めて状態を説明します
- 1週間程度の支援記録が説明に役立ちます
- 状態変化があれば区分変更申請を相談できます
- 結果への疑問は通知書と公式手続きを確認します
まとめ
障害支援区分6は、障害名の重さではなく、生活全体で必要な支援の度合いが最も高いことを示す区分です。
まずは1週間、移動、食事、排せつ、意思疎通、行動面、夜間対応など、実際に受けている支援を時間帯ごとに書き出してください。
区分6という数字だけで暮らし方や働く可能性を決めつけず、あなたに必要な支援と希望する生活を市町村や相談支援専門員へ具体的に伝えていきましょう。
本記事の内容は、厚生労働省・自治体などの公的機関の公開資料をもとに整理したものです。制度・利用条件・支給額などは改正・変更される場合があります。最終的な判断や申請手続きの前には、必ずお住まいの自治体窓口や各事業所の最新情報をご確認ください。


